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猥雑
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わいざつ
ふりがな文庫
“
猥雑
(
わいざつ
)” の例文
旧字:
猥雜
Matsu・ホテルの青い建物では
満艦飾
(
まんかんしょく
)
のグロテスクな女が意気で
猥雑
(
わいざつ
)
なブラック・ボトンを踊り、天界ホテルでは白痴のマリが
スポールティフな娼婦
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
また自分たちが
猥雑
(
わいざつ
)
な心もちにとらわれやすいものだから、
男女
(
なんにょ
)
の情さえ書いてあれば、どんな書物でも、すぐ
誨淫
(
かいいん
)
の書にしてしまう。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし此処でもその
猥雑
(
わいざつ
)
さは、われわれの古い時代の舞台のために書かれた戯曲(たとえばシェークスピアのヘンリー五世の如き)
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
猥雑
(
わいざつ
)
なことを語っていても、その話手がまじめな顔をしていると、まじめな顔をしているから、それは、まじめな話である。
一歩前進二歩退却
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして夕方帰り道では、列車の混雑、低い狭い薄暗いみじめな郊外客車の、むせるほどの人込み、
喧騒
(
けんそう
)
、笑い声、歌の声、
猥雑
(
わいざつ
)
、悪臭、たばこの煙。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
彼等がその芸術的に訓練されない
猥雑
(
わいざつ
)
の口語文を以てした為に、外国文学に見る如き高貴な詩人的の心を失い、江戸文学の続篇たる野卑俗調の
戯作
(
げさく
)
に甘んじ
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
どんな淑女でも、夜の夢では、昼間の生活からは想像もできない
猥雑
(
わいざつ
)
残虐の行動をすることがあります。それは夢が抑圧された本能のはけ口だからと申します。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
剣道の
奥義
(
おうぎ
)
を会得するために念々修業しております、しかるにあの娘たちは
淫卑
(
いんび
)
猥雑
(
わいざつ
)
、けがらわしき言動を以てわれわれを悩まし、神聖なる草庵を
汚涜
(
おとく
)
いたします
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこにはいつも人がうようよいて、やたらにわめいたり、大声に笑ったり、ののしり合ったり、しゃがれ声で
猥雑
(
わいざつ
)
な歌をうたったり、しょっちゅう
喧嘩
(
けんか
)
までしていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
夜
(
よる
)
の
演
(
だ
)
し
物
(
もの
)
は、もちろん、宴もくずれてからの座興なので、
淫
(
みだ
)
らな寸劇や、
猥雑
(
わいざつ
)
な舞踊が多かった。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
耶蘇坊主の
猥雑
(
わいざつ
)
極まる詐欺に比べて遥かに罪が軽い、それから『
川角太閤記
(
かわすみたいこうき
)
』四に、文禄元辰二月時分より三井寺の鐘鳴りやみ、妙なる義と天下に取り沙汰の事と見ゆ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
怪しからんことには、とうとう私達は今死んだ娘の事について
猥雑
(
わいざつ
)
な会話を交していた。私は疲れた。しかし、此の
儘
(
まま
)
別れて家に帰るには、妙に離れ難い気持になっていた。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
猥雑
(
わいざつ
)
な呪法や魔術をひろめて、どれだけ正統的な切支丹宗門の邪魔をしたかわかりませんが、その後、幕府の禁令が厳しかったので、いつともなしに亡び失せてしまいました。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ヤレ突けそれ突け」というのは、——この時代の事ですから、今から考えると随分思い切った乱暴な
猥雑
(
わいざつ
)
なものですが——小屋の表には後姿の女が
裲襠
(
しかけ
)
を着て、背を見せている。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
自然にわきあがってきた民族としての子供の声であった。その中にはむろん平俗なのもあった、いかがわしい
猥雑
(
わいざつ
)
なおとなのものもあった。しかしほんとうの子供の声はその中にあった。
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
猥雑
(
わいざつ
)
なレヴュウを観て居る裡に、忽ちそんな場所に居る事が
莫迦莫迦
(
ばかばか
)
しくなり一刻も早く直接女との交渉を持った方が切実だと謂う気になりまして直ぐ
態
(
さま
)
其処を飛び出して了いましたものの
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
猿楽の狂言および俗間の茶番狂言なるもの
体裁
(
ていさい
)
さらに
善
(
よ
)
し。今一歩を進め、
猥雑
(
わいざつ
)
に流れず時情に
濶
(
へだた
)
らず、滑稽の中に諷刺を
寓
(
ぐう
)
し、時弊を
譏諫
(
きかん
)
することなどあらば、世の益となることまた少なからず。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
汚すような肉体的の放縦
猥雑
(
わいざつ
)
に堪え得ないことは当然です
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
げすな
猥雑
(
わいざつ
)
な感じがしてならないのである。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
そこからルーマニアの士官と、スペイン女のあの意気で
猥雑
(
わいざつ
)
なタンゴが始まると、人々は腰を高く振って、歓声をあげるのでした。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
又自分たちが
猥雑
(
わいざつ
)
な心もちに
囚
(
とら
)
はれ易いものだから、
男女
(
なんによ
)
の情さへ書いてあれば、どんな書物でも、すぐ
誨淫
(
くわいいん
)
の書にしてしまふ。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おなじ羽色の
烏
(
からす
)
が数百羽集ると
猥雑
(
わいざつ
)
に見えて来るので同類たがいに
顰蹙
(
ひんしゅく
)
し合うに到る、という
可笑
(
おか
)
しい心理に依るのかも知れないが、自分もやはり清国留学生
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして
猥雑
(
わいざつ
)
な映画の動きに眼を放しながら、幾時間かを過して外へ出ると夜だった。
豹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
猥雑
(
わいざつ
)
な声で何やらげらげら語りあい、みな
獰猛
(
どうもう
)
な眼と、そして矛、野太刀などの兇器を持ち、まるで赤鬼のような顔をそろえて、居ぎたなく、炎のまわりに、寝まろんでいるのだった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今の裸レヴィユなどは足もとにも追い付かぬ
猥雑
(
わいざつ
)
な見世物があり、それが黙許されて居たくらいですから、『一と目千両』の美女の見世物があったところで、何んの不思議もありません。
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日本の僧侶など一向
歯牙
(
しが
)
にも掛けなんだらしいが、それは洋人が、『古事記』『日本紀』を
猥雑
(
わいざつ
)
取るに足らぬ書と評すると一般で、余が交わった多くのインド学生中には羅摩の勇、私陀の貞
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
皆、皮膚のざらざらした、そして
荒
(
すさ
)
んだ表情をしていた。その中の一人は、何か
猥雑
(
わいざつ
)
な調子で流行歌を
甲高
(
かんだか
)
い声で歌っていた。何か言っては笑い合うその声に、何とも言えないいやな響きがあった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
そして、ジャズの音が激しく、光芒のなかで、
歔欷
(
すすりな
)
くように、或は、
猥雑
(
わいざつ
)
な
顫律
(
せんりつ
)
を
漾
(
ただよ
)
わせて、色欲のテープを、
女郎
(
じょろう
)
ぐものように吐き出した。
東京ロマンティック恋愛記
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
裏長屋の熊公八公より卑しく
猥雑
(
わいざつ
)
で無恥乱倫だといきまく考証家も少なくない。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
途々、われわれ勅使の一行が参ると、うすぎたない住民どもが、車騎に近づいたり、指さしたりなど、はなはだ
猥雑
(
わいざつ
)
な
態
(
てい
)
で見物しておったが、かりそめにも、勅使を迎えるに、なんということだ。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我らに
阿諛
(
あゆ
)
なし、
猥雑
(
わいざつ
)
の世を
遙
(
はるか
)
に見下して、飢と貧困の楼高く我らは
謳
(
うた
)
う。
溜息の部屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
妾
(
わたし
)
の愛情、赤いポストにするまで。と、
味噌歯
(
みそっぱ
)
を出してわらったのだが、金羊毛の舞踊室から
無頼漢
(
ぶらいかん
)
の礼讃を象徴するような意気で
猥雑
(
わいざつ
)
なタンゴが響いてくると、急に奔放な馬のような女となって
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
“猥雑”の意味
《名詞》
入り乱れること。
品がなくごたごたしていること。
(出典:Wiktionary)
猥
漢検1級
部首:⽝
12画
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
“猥雑”で始まる語句
猥雑放縦