無謀むぼう)” の例文
左様な愚挙ぐきょに与するくらいなら、この席は立ってもよい。然し、城代としてはここは立てぬわしだ。同時に、断じて無謀むぼうな籠城などは相成らぬ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すこ無謀むぼうにはぎはせぬかと氣付きづいたので、むし此邊このへん一泊いつぱくせんと、此事このこと武村兵曹たけむらへいそうかたると、武村兵曹たけむらへいそう仲々なか/\かない
しかるに今その敵に敵するは、無益むえきなり、無謀むぼうなり、国家の損亡そんもうなりとて、もっぱら平和無事に誘導ゆうどうしたるその士人しじんひきいて、一朝いっちょう敵国外患がいかんの至るに当り
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
鍛冶屋かじや主人しゅじんは、それは、あまりに無謀むぼうなことだとおもったが、すべて、成功せいこうをするには、これほどの冒険ぼうけん勇気ゆうきが、なければならぬともかんがえられたのでした。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕がこんな無謀むぼうに近いことを思いたったのを、諸君はあざ笑わないことと思う。ぺこぺこのお腹をかかえ、あの焼跡に立ってみれば、誰だって僕と同感になるだろう。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「それは無謀むぼうです。悪漢どもはおばさんが生きていることを知ったら、殺してしまいます」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
父親がその無謀むぼうらしい望みを容易に許さなかったのも無理のないことであった。ポルカさえ満足に作れないせがれは、やはり田舎いなかで、親譲おやゆずりの肉屋と旅籠屋を経営していく方が無事らしく見えたのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
其樣そのやうこと如何どうして出來できませう。れば百計ひやくけいつき塲合ばあひには、たとへ海底戰鬪艇かいていせんとうていとも永久えいきゆうこの孤島はなれじま朽果くちはつるとも、無謀むぼう本島ほんたう出發しゆつぱつすること出來できません。きみ左樣さうでせう。
わたしたちは、ここへんできたことが、無謀むぼうであった。」と、エスがんがいいました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんな少女が恐竜島の探検についてくるなんて、なんという無謀むぼうなことかと思った。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だのに、なぜ、こんな無謀むぼうをあえてしたろう? 白刃林立のなかへ、肉体をなげこめば、たちまち剣のさきに、メチャメチャにされてしまうのは、あまりにも知れきった結果だのに。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そりゃ無謀むぼうだ。みずから危険のふちにのぞむことは、賛成さんせいできない」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
わたくしはつく/″\とかんがへたが、今度こんどといふ今度こんどこそは、とてものがれぬてんわざはひであらう。櫻木大佐さくらぎたいさげんごとく、無謀むぼう本島ほんたうはなるゝこと出來できぬものとすれば、ほかなんさくい。
わしの苦衷くちゅうを語り、かつはまた、そちの信念を以て、いま信長公に弓を引くなどということが、いかに無謀むぼうきょに過ぎないか、また毛利家の強大な形容のみを見て、それに依存することの到底
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんな無謀むぼうなことをしてもしものことがあったらどうするか」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「まるで、山を舟でえようというのとおなじ無謀むぼう沙汰さただ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)