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漫然
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まんぜん
ふりがな文庫
“
漫然
(
まんぜん
)” の例文
もっとも津村の云うような「職業意識」も手伝っていたが、正直のところ、まあ
漫然
(
まんぜん
)
たる行楽の方が主であったのである。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから
卷煙草
(
まきたばこ
)
に
火
(
ひ
)
をつけた
私
(
わたくし
)
は、
一
(
ひと
)
つにはこの
小娘
(
こむすめ
)
の
存在
(
そんざい
)
を
忘
(
わす
)
れたいと
云
(
い
)
ふ
心
(
こころ
)
もちもあつて、
今度
(
こんど
)
はポケットの
夕刊
(
ゆふかん
)
を
漫然
(
まんぜん
)
と
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
へひろげて
見
(
み
)
た。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ただ
漫然
(
まんぜん
)
として
空裏
(
くうり
)
に
飛揚
(
ひよう
)
する愛であった。したがってお延の努力は、風船玉のようなお秀の話を、まず下へ引き
摺
(
ず
)
りおろさなければならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
るに
今日
(
こんにち
)
の
状態
(
ぜうたい
)
は
如何
(
いかゞ
)
であるか、
外語研究
(
ぐわいごけんきう
)
の
旺盛
(
わうせい
)
はまことに
結構
(
けつこう
)
であるが、一
轉
(
てん
)
して
漫然
(
まんぜん
)
たる
外語崇拜
(
ぐわいごすうはい
)
となり、
母語
(
ぼご
)
の
輕侮
(
けいぶ
)
となり、
理由
(
りいう
)
なくして
母語
(
ぼご
)
を
捨
(
す
)
て
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
漫然
(
まんぜん
)
世と
推移
(
おしうつ
)
りて、道理上よりいえば人事の末とも名づくべき政事政談に熱するが如き、我輩は失敬ながら
本
(
もと
)
を知らずして
末
(
すえ
)
に走るの人と評せざるを得ざるなり。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
私はどうして彼がそんな事を口走ったのか、まるで判断もつかず、
漫然
(
まんぜん
)
と聞返した。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
民情に通じ、
下賤
(
げせん
)
を
究
(
きわ
)
めることをもって奉行職の一必要事と
観
(
かん
)
じている越前守は、お役の暇を見てよくこうして江戸の巷を
漫然
(
まんぜん
)
と散策することを心がけてもいたし、また
好
(
この
)
んでもいたのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
圭さんは
臍
(
へそ
)
を洗うのをやめて、湯槽の
縁
(
ふち
)
へ
肘
(
ひじ
)
をかけて
漫然
(
まんぜん
)
と、
硝子越
(
ガラスご
)
しに外を眺めている。碌さんは首だけ湯に
漬
(
つ
)
かって、相手の臍から上を見上げた。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朝から
午
(
ひる
)
少し前まで、仕事をしたら、へとへとになったから、飯を食って、
水風呂
(
みずぶろ
)
へはいって、
漫然
(
まんぜん
)
と四角な字ばかり並んだ古本をあけて読んでいると、
赤木桁平
(
あかぎこうへい
)
が
田端日記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
以上
(
いじやう
)
日本
(
にほん
)
の
固有名
(
こいうめい
)
、
殊
(
こと
)
に
地名
(
ちめい
)
について、その
理由
(
りいう
)
なく
改惡
(
かいあく
)
されることの
非
(
ひ
)
なるを
述
(
の
)
べたが、ここに
更
(
さら
)
に
寒心
(
かんしん
)
すべきは、
吾人
(
ごじん
)
の
日用語
(
にちようご
)
が、
適當
(
てきたう
)
の
理由
(
りいう
)
なくして
漫然
(
まんぜん
)
歐米化
(
おうべいくわ
)
されつゝあるの
事實
(
じじつ
)
である。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
と口のうちで小声に
誦
(
じゅ
)
しつつ
漫然
(
まんぜん
)
と浮いていると、どこかで
弾
(
ひ
)
く三味線の
音
(
ね
)
が聞える。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんな
理窟
(
りくつ
)
の立たない
漫然
(
まんぜん
)
としたものではないのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家
(
うち
)
へ帰ると、
門野
(
かどの
)
が例の如く
漫然
(
まんぜん
)
たる顔をして
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“漫然”の意味
《名詞》
漫然(まんぜん)
とりとめのないこと。また、そのようなさま。
ぼんやりしていて注意力が足りないこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
漫
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“漫”で始まる語句
漫
漫々
漫歩
漫罵
漫画
漫遊
漫火
漫語
漫筆
漫遊中