トップ
>
滑川
>
なめりがわ
ふりがな文庫
“
滑川
(
なめりがわ
)” の例文
橋の上から見ると、
滑川
(
なめりがわ
)
の水は軽く薄濁って、まだ芽を吹かない両岸の枯れ
葦
(
あし
)
の根を静かに洗いながら音も立てずに流れていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
すぐ丘の下、
滑川
(
なめりがわ
)
のむこうには、たそがれの
黒白
(
あいろ
)
も分かず、たくさんな兵が、ひしめき合い、呶号の
潮
(
うしお
)
を逆巻いているのだった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浜の方へ五六間進むと、土橋が
一架
(
ひとつ
)
、並の小さなのだけれども、
滑川
(
なめりがわ
)
に
架
(
かか
)
ったのだの、
長谷
(
はせ
)
の
行合橋
(
ゆきあいばし
)
だのと、おなじ名に聞えた
乱橋
(
みだればし
)
というのである。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一郎と別れた外の者は、
滑川
(
なめりがわ
)
に沿った砂山から海辺に出て、夕日の沈んで行く頃の、めっきり秋めいて
冷
(
つめた
)
い
渚
(
なぎさ
)
に、下駄や
裸足
(
はだし
)
の跡を残して歩いて行った。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
自分で上等も無いもんですが、先日上京した時、銀座の
亀屋
(
かめや
)
へ行って最上のを
呉
(
く
)
れろと
内証
(
ないしょう
)
で三本
買
(
かっ
)
て来て
此処
(
ここ
)
へ
匿
(
かく
)
して置いたのです、一本は
最早
(
もう
)
たいらげて
空罎
(
あきびん
)
は
滑川
(
なめりがわ
)
に投げ込みました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
鎌倉山
(
かまくらやま
)
の秋の夕ぐれをいそぎ、
青砥左衛門尉藤綱
(
あおとさえもんのじょうふじつな
)
、
駒
(
こま
)
をあゆませて
滑川
(
なめりがわ
)
を渡り、川の真中に
於
(
お
)
いて、いささか用の事ありて腰の火打袋を取出し、袋の口をあけた途端に袋の中の銭十
文
(
もん
)
ばかり
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
滑川
(
なめりがわ
)
などにも見る光景であります。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
なかでも巨大な
紅蓮
(
ぐれん
)
は、柳営一帯を
舐
(
な
)
め狂ッている風火で、そこを焼き尽くせば、炎は
滑川
(
なめりがわ
)
もこえて、ここ東勝寺の山門へ移ってくるしか火魔の目標となる物はない。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
滑川
(
なめりがわ
)
の
辺
(
ほとり
)
なる八橋楼に投宿して、
他所
(
よそ
)
ながら赤城の様子を聞くに、「
妖物
(
ばけもの
)
屋敷、」「不思議の家、」あるいは「幽霊の
棲家
(
すみか
)
、」などと怪しからぬ名を附して、誰ありて知らざる者無し。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
滑川
(
なめりがわ
)
を渡りし時、だろう。わかった、わかった。わしは
土方人足
(
どかたにんそく
)
というところか。さがしますよ、拾いますよ。」と吉郎兵衛は
尻端折
(
しりばしょ
)
りして薄暗闇の地べたを
這
(
は
)
い一歩金やらこまがねやらを
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
或日
(
あるひ
)
自分は
何時
(
いつも
)
のように
滑川
(
なめりがわ
)
の
辺
(
ほとり
)
まで散歩して、さて砂山に登ると、
思
(
おもい
)
の外、北風が身に
沁
(
しむ
)
ので
直
(
す
)
ぐ
麓
(
ふもと
)
に
下
(
おり
)
て
其処
(
そこ
)
ら日あたりの
可
(
よ
)
い所、
身体
(
からだ
)
を
伸
(
のば
)
して楽に
書
(
ほん
)
の読めそうな所と
四辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みま
)
わしたが
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
二人
(
ふたり
)
はいつか
滑川
(
なめりがわ
)
の川口の所まで来着いていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
水
涸
(
か
)
れてこれぞ名に負ふ
滑川
(
なめりがわ
)
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
おかしいと感じ出したのは、もう庭ではなく、
滑川
(
なめりがわ
)
を渡って町屋根も見えていたからだった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「な、なに……大したことはありません。戻る途中、
滑川
(
なめりがわ
)
の崖で転んで、石で打ったのだ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
滑川
(
なめりがわ
)
の妓家で、双方、
極道
(
ごくどう
)
の面をさらけ合って、飲んで、喧嘩別れをしていらい、逆に、あれからはどっちも「おもしろいやつだ」と見て、この都でもつきあいをつづけていた。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
滑川
(
なめりがわ
)
の河口に横づけになっている奥州通いの船に立って、こうつぶやいている男がある。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金銀、鉄砂、織物、
漆
(
うるし
)
、紙など、ここで
揚陸
(
ようりく
)
された量はおびただしい額にのぼろう。時には
浅黄
(
あさぎ
)
いろの同じ小旗を
舳
(
みよし
)
に立てた奥州船ばかりで、
滑川
(
なめりがわ
)
の河口をうずめているような盛観も見られた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宝戒寺
(
ほうかいじ
)
の並木、
滑川
(
なめりがわ
)
の水音、大蔵への道はだんだんに暗かった。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
滑川
(
なめりがわ
)
の水音だけがどこかでする。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
滑
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
川
常用漢字
小1
部首:⼮
3画
“滑”で始まる語句
滑
滑稽
滑々
滑車
滑石
滑稽味
滑走
滑稽本
滑脱
滑稽談