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渦中
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かちゅう
ふりがな文庫
“
渦中
(
かちゅう
)” の例文
もっと突き進んで行って、血みどろな光景に接したかった。そればかりか、彼は犯罪事件の
渦中
(
かちゅう
)
に巻込まれることさえ
厭
(
いと
)
わなかった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今度の大獄に
連座
(
れんざ
)
した人たちはいずれもその
渦中
(
かちゅう
)
に立っていないものはない。その中には、六人の婦人さえまじっている。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
比叡山
(
ひえいざん
)
延暦寺
(
えんりゃくじ
)
の山法師、興福寺の奈良法師、
所謂
(
いわゆる
)
僧兵の
兇暴
(
きょうぼう
)
ぶりは周知のとおりであり、事毎に争乱の
渦中
(
かちゅう
)
にあった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
同人らは雑誌を争論の
渦中
(
かちゅう
)
に投げ出そうとはせずに、むしろ雑誌をクリストフから引き離そうと思った。彼らは雑誌の評判が傷つけられるのに驚いた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私たちがまだこんないやな世の中の
渦中
(
かちゅう
)
に巻き込まれないでいられたころを、なぜむだにばかりしたのでしょう。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
二人は明らかに
喧嘩
(
けんか
)
をしていた。その喧嘩の
渦中
(
かちゅう
)
には、知らない
間
(
ま
)
に、自分が引き込まれていた。あるいは自分がこの喧嘩の
主
(
おも
)
な原因かも分らなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
間違いはないが
卑怯
(
ひきょう
)
だぜ! 勇気があったら
渦中
(
かちゅう
)
へ投じろ! が待ってくれ、そうはいっても、むやみと
雑兵
(
ぞうひょう
)
に荒らされても、探索の手口が狂ってしまう。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、そこからの遠目にも、
彼方
(
かなた
)
の真っ黒な斬り合いの
渦中
(
かちゅう
)
から、ぱッ、ぱッ、と血しぶきが立ち、一つ仆れ二つ仆れ、死骸が野にころがるのを見ると
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何を
怒
(
いか
)
るや
怒
(
いか
)
り
猪
(
い
)
の——
俄
(
にわか
)
に
激
(
げき
)
する数千
騎
(
き
)
」
突如
(
とつじょ
)
として山
崩
(
くず
)
れ落つ
鵯越
(
ひよどりごえ
)
の
逆落
(
さかおと
)
し、
四絃
(
しげん
)
を
奔
(
はし
)
る
撥音
(
ばちおと
)
急雨
(
きゅうう
)
の如く、
呀
(
あっ
)
と思う間もなく身は
悲壮
(
ひそう
)
渦中
(
かちゅう
)
に
捲
(
ま
)
きこまれた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そうしてすべてこれらの混乱の
渦中
(
かちゅう
)
にあって、今や我々の多くはその心内において自己分裂のいたましき悲劇に際会しているのである。思想の中心を失っているのである。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
ロンドンのちまたに
喧嘩
(
けんか
)
があると、職務
柄
(
がら
)
の礼状を発することなく、みずからその
渦中
(
かちゅう
)
に飛びこみ、「サアここにヒュースが来た、ヒュースの
拳骨
(
げんこつ
)
を知らぬか」と
名乗
(
なの
)
り
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ただにそれを否定し得なかったばかりでなく、自らその
渦中
(
かちゅう
)
のひとりであった。それはまさしく現実であった。現実がかかる異様な姿になり得るとは、実に
呪
(
のろ
)
うべきことだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
夫
渦中
(
かちゅう
)
い巻き込んだこと、何から何まで素ッ葉抜きそうな勢いやのんです。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「そういうことは、君のような第三者が立ち入らなくてもいいことだ。これまで
渦中
(
かちゅう
)
にとびこんで散々苦労をして来た次郎君は、君らの想像以上に、ものを深く考えるようになっているからね。」
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
われに思ふ所あり、なんぞ
妄
(
みだ
)
りに
汝
(
なんじ
)
の
渦中
(
かちゅう
)
に落ち入らんや。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
もしこの忠告を用いずして、事件の
渦中
(
かちゅう
)
に飛び込むようなことがあれば、君は悔いても及ばぬ一大不幸に見舞われるであろう。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
翌日番町へ行ったら、岡田一人のために
宅中
(
うちじゅう
)
騒々しく
賑
(
にぎわ
)
っていた。兄もほかの事と違うという意味か、別に
苦
(
にが
)
い顔もせずに、その
渦中
(
かちゅう
)
に
捲込
(
まきこ
)
まれて黙っていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その影響は意外なところへ及んで、多少なりとも彼らのために便宜を計ったものは、すべて偽官軍の徒党と言われるほどのばからしい流言の
渦中
(
かちゅう
)
に巻き込まれた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いさぎよく自身で
渦中
(
かちゅう
)
を去り、宗教を深く信じて冷静に百年の計をされたのである。
源氏物語:44 匂宮
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
時勢の
渦中
(
かちゅう
)
へ引きずり込んでゆくぞ——さ、これから僕とともに京都へ行こう
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兎も角も、彼は大犯罪事件の
渦中
(
かちゅう
)
に身を投じたのだ。それが、彼の探偵本能に一種異様の満足を与えた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
同時に、香蔵の京都行きから深く刺激された心を抱いて、激しい動揺の
渦中
(
かちゅう
)
へ飛び込んで行ったあの友だちとは反対に、しばらく寂しい奥山の方へ行こうとした。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
なるほど正風の旗を
翻
(
ひるが
)
えすのは、天下を
挟
(
はさ
)
んで事を成すようなもので当時にあって実利上大切であったかも知れませんがその争奪の
渦中
(
かちゅう
)
から一歩退いて眺めたら全く無意味としか思われません。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
奇怪な犯罪事件の
渦中
(
かちゅう
)
にまき込まれて、素人探偵を気取ることも、子供らしい彼には随分面白かったが、それよりも、今までは、何か段違いの相手の様な気がして
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
当時、平田
篤胤
(
あつたね
)
没後の門人は諸国を通じて千人近くに達するほどの勢いで、その中には古学の研究と宣伝のみに満足せず、自ら進んで討幕運動の
渦中
(
かちゅう
)
に身を投ずるものも少なくなかった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
実を云うと、僕自身もこの
血腥
(
ちなまぐさ
)
い事件の
渦中
(
かちゅう
)
の一人に違いない。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私はとうとう殺人事件の
渦中
(
かちゅう
)
に巻き込まれた形でした。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
渦
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“渦”で始まる語句
渦
渦巻
渦紋
渦卷
渦潮
渦動
渦流
渦捲
渦毛
渦巻毛