氣長きなが)” の例文
新字:気長
なくば隱見ゐんけん出沒しゆつぼつ氣長きながわがふねあとうち本船ほんせん何時いつ海水かいすいあさ島嶼たうしよ附近ふきんか、そこ大海礁だいかいせうよこたは波上はじやうにでも差懸さしかかつたときかぜごときたり、くもごとあらはれでゝ
「まア、氣長きながに氣を落ちつけて養生してゐないと、この病氣は直るものでないから。」
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
道具類だうぐるゐせきばかりつて、金目かねめにならないものは、こと/″\はらつたが、五六ぷく掛物かけものと十二三てん骨董品丈こつとうひんだけは、矢張やは氣長きながしがるひとさがさないとそんだと叔父をぢ意見いけん同意どういして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一目見るより此奴こやつ容易よういならざる不敵の者なれば尋常じんじやう糺問たゞしにては事實じじつはくまじと思はれしによりかく氣長きながさとしながら糺問たゞされしなりしかりといへども長庵は何事も曾て存ぜずと而已のみ申立口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
らうし何とも氣毒きのどくの至りなり以來いらい此左京は山賊はやめ申すと云ふに大膳呵々から/\と打笑ひ左京どの沙彌さみから長老ちやうらうと申し何事でも左樣うまくは行ぬ者なり山賊さんぞくとても其通り兎角辛抱しんばう肝心かんじんなり石の上にも三年と云へば先づ/\氣長きながにし給へ其内には好事よきことも有るべし扨また我は今宵こよひの留守にらうせずして小千兩のとり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)