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ざくろぐち
ふりがな文庫
“
柘榴口
(
ざくろぐち
)” の例文
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
には
余
(
あま
)
り人が
居
(
を
)
りませぬで、四五
人
(
にん
)
居
(
を
)
りました。
此湯
(
このゆ
)
は
昔風
(
むかしふう
)
の
柘榴口
(
ざくろぐち
)
ではないけれども、はいる
処
(
ところ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
薄暗
(
うすぐら
)
くなつて
居
(
を
)
ります。
年始まはり
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「二三人いたようですが、しばらく
柘榴口
(
ざくろぐち
)
から出ずに、夢中で
喉
(
のど
)
を聞かせていたから、どんな野郎がいたか、ろくに見やしません」
銭形平次捕物控:097 許嫁の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の中の
歌祭文
(
うたざいもん
)
にも、めりやすやよしこのの声が加わった。ここにはもちろん、今彼の心に影を落した
悠久
(
ゆうきゅう
)
なものの姿は、
微塵
(
みじん
)
もない。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
半七は
柘榴口
(
ざくろぐち
)
へはいって体を
湿
(
しめ
)
していると、湯気にとざされていた風呂のなかで、男同士の話し声がきこえた。
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ここにも喧嘩が起ったのかと振り向くと、狭い
柘榴口
(
ざくろぐち
)
に
一寸
(
いっすん
)
の余地もないくらいに化物が取りついて、毛のある脛と、毛のない股と入り乱れて動いている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
銭湯の
柘榴口
(
ざくろぐち
)
に見立てた板に、柄のついたのを前に立て、中でお湯を使ったり、子供の人形を洗ってやったりするところを見せたものなぞがあったものである。
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
柘榴口
(
ざくろぐち
)
から
流
(
なが
)
しへ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
春重
(
はるしげ
)
の
様子
(
ようす
)
には、いつも
通
(
とお
)
りの、
妙
(
みょう
)
な
粘
(
ねば
)
りッ
気
(
け
)
が
絡
(
から
)
みついていて、
傘屋
(
かさや
)
の
金蔵
(
きんぞう
)
の
心持
(
こころもち
)
を、ぞッとする
程
(
ほど
)
暗
(
くら
)
くさせずにはおかなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それを
柘榴口
(
ざくろぐち
)
といって、そこを
潜
(
くぐ
)
って、足掛の
踏段
(
ふみだん
)
を上って、湯槽にはいるのである。自然湯槽は高くなっている。今のように低くなったのを温泉といっていた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
湯屋では、八ケンというものが男湯と女湯との真ん中に
点
(
つ
)
いていた。
柘榴口
(
ざくろぐち
)
を
潜
(
くぐ
)
って
這入
(
はい
)
るのです。
幕末維新懐古談:05 その頃の床屋と湯屋のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
顎十郎が、小杓子でかかり湯をつかっていると、唄がやんで、
柘榴口
(
ざくろぐち
)
からまっ赤になって這いだして来たのは、加賀さまのお陸尺で、顔なじみの寅吉という
剽軽
(
ひょうきん
)
なやつ。
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
銭湯の
柘榴口
(
ざくろぐち
)
のような構えをした吹抜亭の表作りがなつかしく目に見えてきた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
上方風の小意気な
鮨屋
(
すしや
)
があったり、
柘榴口
(
ざくろぐち
)
のある綺麗な湯屋があったりした。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
濛々と湯気の
罩
(
こも
)
った
柘榴口
(
ざくろぐち
)
から、勘弁勘次が中っ腹に我鳴り返した。
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「二三人ゐたやうですが、暫く
柘榴口
(
ざくろぐち
)
から出ずに、夢中で
喉
(
のど
)
を聞かせてゐたから、どんな野郎がゐたか、ろくに見やしません」
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の方へ歩いて行く馬琴の後姿を見送つて、これから家へ帰つた時に、曲亭先生に
遇
(
あ
)
つたと云ふ事を、どんな調子で女房に話して聞かせようかと考へた。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
女中が一緒に付いて来たんですが、こいつが
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の中で町内の人と何かおしゃべりをしている間に、勘蔵がこっそりと娘の耳へ吹き込んでしまったんです。
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と云って
皆
(
みん
)
な出て仕舞ったが、中に一人九兵衞さんと云う人ばかりは出られませんから、
窃
(
そっ
)
と
柘榴口
(
ざくろぐち
)
を
潜
(
くゞ
)
って逃げようと思うと、水船の脇で
辷
(
すべ
)
って倒れました。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
朝
(
あさ
)
っぱらの
柳湯
(
やなぎゆ
)
は、
町内
(
ちょうない
)
の
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
と、
楊枝削
(
ようじけず
)
りの
御家人
(
ごけにん
)
と
道楽者
(
どうらくもの
)
の
朝帰
(
あさがえ
)
りとが、
威勢
(
いせい
)
のよしあしを
取
(
とり
)
まぜて、
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の
内
(
うち
)
と
外
(
そと
)
とにとぐろを
巻
(
ま
)
いたひと
時
(
とき
)
の、
辱
(
はじ
)
も
外聞
(
がいぶん
)
もない
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の中は薄暗いから顔は見えないが、どちらも年配らしい落着いた声。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の方へ歩いて行く馬琴の後ろ姿を見送って、これから家へ帰った時に、曲亭先生に
遇
(
あ
)
ったということを、どんな調子で女房に話して聞かせようかと考えた。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
浴槽は高く作られて、踏み板を越えて這入るのが習で、その前には
柘榴口
(
ざくろぐち
)
というものが立っているから、浴客は柘榴口をくぐり、更に踏み板を越えて浴槽に入るのである。
明治時代の湯屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そういいながら、
柘榴口
(
ざくろぐち
)
から、にゅッと
首
(
くび
)
を
出
(
だ
)
したのは、
絵師
(
えし
)
の
春重
(
はるしげ
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
だから
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の内外は、すべてがまるで戦場のやうに騒々しい。そこへ
暖簾
(
のれん
)
をくぐつて、
商人
(
あきうど
)
が来る。物貰ひが来る。客の出入りは勿論あつた。その混雑の中に——
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
だから
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の
内外
(
うちそと
)
は、すべてがまるで戦場のように騒々しい。そこへ
暖簾
(
のれん
)
をくぐって、
商人
(
あきうど
)
が来る。
物貰
(
ものもら
)
いが来る。客の出入りはもちろんあった。その混雑の中に——
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
柘
漢検準1級
部首:⽊
9画
榴
漢検1級
部首:⽊
14画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“柘榴”で始まる語句
柘榴
柘榴石
柘榴割
柘榴寺
柘榴木
柘榴珠
柘榴鼻