たも)” の例文
切迫に瀕するときにその生活をたもち、その耕作を継続させんがために金を貸し付け、次の収穫において高利をもってこれを払わしめ
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
女学子は時勢に激するところありて「膝栗毛」の版をかんといへり。われは女学子の社界改良の熱情に一方ならぬ同情をたもつものなり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
このチスターの川はちょっといわれのある川で、ここでこのヒマラヤ山住民の内で今もなお原人時代の有様をたもって居る種族がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
好きなものが毒になり、嫌いなものがくすりになる。好きなものを食うて、嫌いなものに食われる。宇宙の生命いのちは斯くしてたもたるゝのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかもその突当りにしたたるほどの山が、自分の眼をさえぎりながらも、邪魔にならぬ距離をたもって、どろんとしたわがひとみみどりうちに吸寄せている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と。鮑叔はうしゆくすで管仲くわんちうすすめ、もつこれくだる。((鮑叔ノ))子孫しそんよよせい祿ろくせられ、封邑ほういふたももの餘世よせいつね名大夫めいたいふたり。
その行ないにおいてはなおかつ滝の白糸たる活気をばたもちつつ、その精神は全く村越友として経営苦労しつ。その間は実に三年みとせの長きにわたれり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文覚の袈裟けさに対するや、如何いかなる愛情をたもちしやを知らず、然れども世間彼を見る如き荒逸なる愛情にてはあらざりしなるべし。
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
すみやかにれ、われけがすことかれ。われむし(三七)汙涜をとくうち遊戲いうぎしてみづかこころようせん。くにたももの(三八)せらるることからん。終身しうしんつかへず、もつこころざしこころようせんかな
神の如き性をたもつこと多ければ、戦ひは人の如き性を倒すまでは休まじ、休むも一時にして、程れば更に戦はざる能はず。
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
実にこの煩悶をたもつこと少なからざりしなり、この煩悶の苦痛にへがたかりしなり、こゝに於てか権勢家の剛愎がうふくにして暴慢なる制抑を離れて、別に一種の思想境を造り
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
人の如き性をたもつこと多ければ終身惘々まう/\として煩ふ所なく、想ふ所なく、憂ふる所なからむ。
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)