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月謝
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げつしや
何しろ、あなた、
月謝ばかりが
毎月一円、本代だつて試験の
度々に二三円ぢやきゝませんしね、
其れに
夏冬ともに洋服を着るんでせう、靴だつて年に二足は
穿いてしまひますよ。
が、
其上修業をさせるとなると、
月謝小遣其他は
宗助の
方で
擔任しなければ
義理が
惡い。
所が
夫は
家計上宗助の
堪える
所でなかつた。
月々の
收支を
事細かに
計算して
見た
兩人は
學校かよひに
宜からぬ
友でも
出來てはならず、一
切我れに
任かせてまあ
見て
居てくれと
親切に
仰しやつてお
師匠さまから
毎日のお
出稽古、
月謝を
出して
附け
屆けして
御馳走して
車を
出して
これは
界隈の
貧民の
兒で、つい
此の
茗荷谷の
上に
在る、
補育院と
稱へて
月謝を
取らず、
時とすると、
讀本、
墨の
類が
施に
出て、
其上、
通學する
兒の、
其の
日暮しの
親達、
父親なり、
母親なり
「
然し
月謝と
小遣位は
都合して
遣つて
呉れても
好ささうなもんぢやないか」