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智惠
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ちゑ
吾等を
此危難から
救ひ
出す
事は、
大佐の
智惠でも
迚も
及ばぬのであらうと、
私は
深く
心に
决したが、
今の
塲合だから
何も
言はない。
あゝ
面白くない、おもしろくない、
彼の
人が
來なければ
幻燈をはじめるのも
嫌、
伯母さん
此處の
家に
智惠の
板は
賣りませぬか、十六
武藏でも
何でもよい、
手が
暇で
困ると
美登利の
淋しがれば
人間の
力に
及ぶ
事なら、あの
智惠逞ましき
櫻木大佐に
不能といふ
事はあるまいが、
今日まで、
何の
音沙汰の
無く
打※ぎて
居るのを
見ると、たとへ、
猛犬稻妻は
無事に
使命と
果したにしろ
さりとて
今更問はんもうしろめたかるべしなんど、
迷ひには
智惠の
鏡も
曇りはてゝや、五
里の
夢中に
彷徨しが、
流石に
定むる
所ありけん、
慈愛二となき
母君に、
一日しか/″\と
打明けられぬ
おゝ
夫よりは
彼の
人の
事彼の
人の
事、
藤本のならば
宜き
智惠も
貸してくれんと、十八
日の
暮れちかく、
物いへば
眼口にうるさき
蚊を
拂ひて
竹村しげき
龍華寺の
庭先から
信如が
部屋へのそりのそりと