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ふりがな文庫
“
敏捷
(
すばしこ
)” の例文
お吉は小作りなキリリとした顏立の女で、二人の田舍娘には見た事もない程立居振舞が
敏捷
(
すばしこ
)
い。黒繻子の半襟をかけた
唐棧
(
たうざん
)
の袷を着てゐた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
金春家の主人はさう聞いて、直ぐ手を延ばして香を取り戻しにかゝつたが、豊和は
敏捷
(
すばしこ
)
く
内懐中
(
うちふところ
)
にしまひ込んでしまつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
井戸端で立ち廻りをやるのを、家の者が知らずに居る筈もなし、第一、人間の眼は八五郎兄哥の前だが、何處かの岡つ引きよりは、餘つ程
敏捷
(
すばしこ
)
いぜ。
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
犬はグウと
唸
(
うな
)
った。そしてキャ、キャーン! ともう一声飛び上ると、この犬がどうしてこんなに
敏捷
(
すばしこ
)
くと思われるほどの速さで、一目散に扉の外へ飛び出した。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これを聞いた一座は、ことに外国人たちは、
椅子
(
いす
)
から乗り出すようにして夫人を見た。夫人はその時
人
(
ひと
)
の目にはつきかねるほどの
敏捷
(
すばしこ
)
さで葉子のほうをうかがった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
と
力瘤
(
ちからこぶ
)
を叩けば、得三は
夥度
(
あまたたび
)
頭
(
こうべ
)
を振り、「うんや、汝には対手が過ぎるわ。
敏捷
(
すばしこ
)
い事ア狐の様で、どうして喰える代物じゃねえ。しかし
隙
(
すき
)
があったら
殺害
(
やッつけ
)
ッちまえ。」
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新しい艶のある洋服を着て、
襟飾
(
えりかざり
)
の好みも
煩
(
うるさ
)
くなく、すべて
適
(
ふさ
)
はしい風俗の
中
(
うち
)
に、人を
吸引
(
ひきつ
)
ける
敏捷
(
すばしこ
)
いところがあつた。美しく
撫付
(
なでつ
)
けた髪の色の黒さ。頬の若々しさ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
で、長い梯子を見上ていると
何
(
な
)
んでも猿のように自分が
敏捷
(
すばしこ
)
く走って上って行って桶の裡を覗いて見て、また敏捷く走って下りて来る時の様子がありありと目に浮んだ。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「実に言語道断の
敏捷
(
すばしこ
)
い奴じゃ、
掏摸
(
すり
)
どもの仲間に相違あるまい、あれあの通り」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夜の驚波に投ずる
燈火
(
あかり
)
、腰蓑を濡した鵜師の休みなき動作、
敏捷
(
すばしこ
)
く潜つては浮く水鳥の影、或は水上に胸を浮べるもの、その高く銜へた嘴には魚が
跳
(
をど
)
り、或は舟に上つて濡羽を震ふもの
三次の鵜飼
(新字旧仮名)
/
中村憲吉
(著)
餘
(
あま
)
りに
敏捷
(
すばしこ
)
くやられたので、
可哀相
(
かあいさう
)
に
小
(
ちひ
)
さな
陪審人
(
ばいしんにん
)
は(それは
蜥蜴
(
とかげ
)
の
甚公
(
じんこう
)
でした)
茫然
(
ぼんやり
)
して
了
(
しま
)
ひました、
隈
(
くま
)
なく
探
(
さが
)
し
廻
(
まは
)
つたが
見當
(
みあた
)
らず、
餘儀
(
よぎ
)
なく
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
はそれから一
本
(
ぽん
)
の
指
(
ゆび
)
で
書
(
か
)
いてゐました、が
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
どんなにコロボックンクルは
喫驚
(
びっくり
)
したことでしたろう、又恥しがったことでしたろう! いかに
敏捷
(
すばしこ
)
いと言ったところが、そういう風に乱暴な男に捉まえられたのでは、どうにも仕様がありません。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
まばたくを、また
敏捷
(
すばしこ
)
いやさ指が
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
お吉は小作りなキリリとした顔立の女で、二人の田舎娘には見た事もない程立居振舞が
敏捷
(
すばしこ
)
い。
黒繻子
(
くろじゆす
)
の半襟をかけた
唐桟
(
たうざん
)
の袷を着てゐた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
井戸端で立ち廻りをやるのを、家の者が知らずにいるはずもなし、第一、人間の眼は八五郎
兄哥
(
あにい
)
の前だが、どこかの岡っ引よりは、よっぽど
敏捷
(
すばしこ
)
いぜ。
銭形平次捕物控:030 くるい咲き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
敏捷
(
すばしこ
)
い広業は画絹が取出されたのを見ると、いつの間にか
厠
(
かはや
)
に滑り込んで、その
儘
(
まゝ
)
そこで
居睡
(
ゐねむり
)
をしてゐたのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
葉子はわき目にもこせこせとうるさく見えるような
敏捷
(
すばしこ
)
さでそのへんに散らばっている物を、手紙は手紙、懐中物は懐中物、茶道具は茶道具とどんどん片づけながら、倉地のほうも見ずに
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「ハイ」と妹の方が
敏捷
(
すばしこ
)
く答えた。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
工場にも行つて見た。活字を選り分ける女工の手の
敏捷
(
すばしこ
)
さを、解版台の傍に立つて
見惚
(
みと
)
れて居ると、「貴方は気が多い方ですな。」と職長の筒井に背を叩かれた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ハイ」と妹の方が
敏捷
(
すばしこ
)
く答えた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
信吾に限らず、男といふ男は、皆富江の
敏捷
(
すばしこ
)
い攻撃を蒙つた。富江は一人で
噪
(
はしや
)
ぎ切つて、遠慮もなく對手の札を拔く、其拔方が少し汚なくて、五囘六囘と續くうちに、指に紙片で繃帶する者も出來た。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
信吾に限らず、男といふ男は、皆富江の
敏捷
(
すばしこ
)
い攻撃を蒙つた。富江は一人で
噪
(
はしや
)
ぎ切つて、遠慮もなく対手の札を抜く、其抜方が少し汚なくて、五回六回と続くうちに、指に
紙片
(
かみきれ
)
で繃帯する者も出来た。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
梅野は
敏捷
(
すばしこ
)
く其手を擦り抜けて、
卓子
(
テイブル
)
の彼方へ逃げた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
敏
常用漢字
中学
部首:⽁
10画
捷
漢検準1級
部首:⼿
11画
“敏”で始まる語句
敏
敏感
敏子
敏達
敏活
敏夫
敏速
敏馬
敏才
敏腕家