放題ほうだい)” の例文
しかしまたそのほかにも荒廃こうはいきわめたあたりの景色に——伸び放題ほうだい伸びた庭芝にわしばや水の干上ひあがった古池に風情ふぜいの多いためもないわけではなかった。
悠々荘 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
図に乗って、また舌の動き放題ほうだいに、怖がらせをしゃべっていたが、お米に返辞がないので、こんどは少しやわらげて
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子供達こどもたち毬唄まりうたにまではやされて、るもらぬも、うわさはな放題ほうだい、かぎのおせんならでは、けぬ煩悩ぼんのうは、血気盛けっきざかりの若衆わかしゅうばかりではないらしく
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「な、こういう次第だからとよく申して、同勢をすぐり、貴様には気の毒だが、その夜にでも彼地あちらをたって江戸へ急行してもらいたい。礼は後日のぞみ放題ほうだいにとらせる」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おれの土地とちなどは、にんやまほどある。こっちの放題ほうだいじゃないか。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みずくきのあとも細々ほそぼそと、ながしたようにきつらねた木目もくめいた看板かんばんに、片枝折かたしおりたけちた屋根やねから柴垣しばがきへかけて、葡萄ぶどうつる放題ほうだい姿すがたを、三じゃくばかりのながれにうつした風雅ふうがなひとかま
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いたましくも、豊葦原とよあしはら瑞穂みずほくには、こういういなごみたいな害虫のむしばみにまかせて、荒れ放題ほうだいに国土を荒して来たといっても、そう過言ではない。すくなくも応仁の乱このかたの日本の乱れは。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「コレ、声が高いぞ! うむ、その代価として金銀は望み放題ほうだい……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
悪所通あくしょがよいのしたい放題ほうだいはしたし、なみの道楽者の十倍も余計に女のはだを知りつくして来はしたものの、いまだ、ただの一度もさいを争ったことはなし、まして人様の物を、ちり一本でも盗んだ覚えは
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そしてまんざら出放題ほうだいでもないらしく、こうつけたした。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)