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揆
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き
ふりがな文庫
“
揆
(
き
)” の例文
しかも一
揆
(
き
)
が、かりそめの百姓一揆とちがって、手強い底力を持っていることが知れるに従って、一藩の人心はいよいよ猛り立った。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
下總
(
しもふさ
)
だ——宇佐美家の所領へ行つて訊いたら、みんな一ぺんにわかるだらう。丁度今百姓一
揆
(
き
)
が起きかけて、ブスブス
燻
(
いぶ
)
つてゐるさうだ」
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
武士の大小をたばさみて
雪隠
(
せついん
)
に
入
(
い
)
れる図の如きは、一九が『
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
』の滑稽とその
揆
(
き
)
を一にするものならずや。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その預言者なるは、なお松陰が尊王的の打撃者たるが如し。
而
(
しこう
)
してその
両
(
ふたつ
)
ながら国家的概念を以て充満するに至りては、則ちその
揆
(
き
)
を一にせずんばあらず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
これはナホトカ組が祖国への敵前上陸を教育されているのと
揆
(
き
)
を一にする絶対主義の教育であり、神がかりの教育でもある。教育された皇太子の罪ではない。
安吾巷談:03 野坂中尉と中西伍長
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
「正月」の句と「水無月」の句とは、全く
揆
(
き
)
を
一
(
いつ
)
にするわけではないが、ほぼ同じような点を
覘
(
ねら
)
っている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「途中、お迎えの者どもでござる」「お送りに加わり申す!」などと口々に列の横から割り込んで来た
鳶色
(
とびいろ
)
一
揆
(
き
)
の騎馬隊があり、それらの者が立ちふさがって
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古今その
揆
(
き
)
を一にするが、米の経済学者エリー(Richard T. Ely)の説明に曰く
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
著名な学者にもその例が多々見られ、いずれもみな
揆
(
き
)
を
一
(
いつ
)
にしているわけである。これらは立場こそ異なれ、みな生命を打込まんとする心の嗜みから学び得たものであろう。
美術芸術としての生命の書道
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
威
(
い
)
を
振
(
ふる
)
って
驀地
(
ばくち
)
に進めと
吼
(
ほ
)
えたのみである。このむさくろしき兵士らは仏光国師の
熱喝
(
ねっかつ
)
を
喫
(
きっ
)
した訳でもなかろうが驀地に進むと云う
禅機
(
ぜんき
)
において時宗と
古今
(
ここん
)
その
揆
(
き
)
を
一
(
いつ
)
にしている。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もしこれを疑わば、請う、これを神仏に問え。神仏もし答えずんば、これを先聖に問え。先聖なお告げずんば、これを後人に問え。諸君は必ず先聖後聖、その
揆
(
き
)
一なることを知らん。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
馬の情緒が
擾馬家
(
うまならし
)
次第で急に変化する事驚くべく、馬を
擾
(
なら
)
す方法諸邦を通じてその
揆
(
き
)
は一だ、すなわち荒れ廻る奴の前二足あるいは四足ことごとく
括
(
くく
)
りて横に寝かせ暫く狂い廻らせ
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
支那に於ても、その春秋戦国時代の末に賢人、
孟子
(
もうし
)
が現れた。この孟子は
孔子
(
こうし
)
の孫
子思
(
しし
)
の門人に業を受けたというから、孔子とは頗る時代を隔てているけれども、思想の径路は両者全く
揆
(
き
)
を
一
(
いつ
)
にした。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
一
揆
(
き
)
?
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
晴さうとしたが——宇佐美家は放つて置いても潰れる。
下總
(
しもふさ
)
の領地の百姓一
揆
(
き
)
はこのまゝぢや濟むまいから、それよりその有難いお墨附を種に、お孃さんを
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
山水画は
即
(
すなわ
)
ち人物画発達の
後
(
のち
)
に起りしものなり。今これをわが浮世絵について見るもまたその
揆
(
き
)
を一にす。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
川島郷の七人衆の原士、あの方々も
寛永
(
かんえい
)
の昔、
島原
(
しまばら
)
の一
揆
(
き
)
戦
(
せん
)
がみじめな敗れとなった時、
天草灘
(
あまくさなだ
)
から海づたいに、阿波へ
漂泊
(
ひょうはく
)
してきた落武者の子孫なのでございました。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
髯を抜きながら瞑目して訟を聴くのも、障子越に訟を聴くのと同じ考であろう。司直の明吏が至誠己を
空
(
むな
)
しうして公平を求めたることは、先後その
揆
(
き
)
を一にすというべきである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
子規居士の晩年の句に「蝉初メテ鳴ク
鮠
(
はえ
)
釣る頃の水絵空」というのがある。句の内容は同じではないが、蝉のはじめて鳴く頃の空の感じを捉えた点は、
揆
(
き
)
を
一
(
いつ
)
にしているといって差支ない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
その豪勢な行列は、流行語の
色
(
いろ
)
一
揆
(
き
)
でいうならば“
黒
(
くろ
)
一
揆
(
き
)
”とでもいえそうである。供の半数以上は、
蟻
(
あり
)
の化け物みたいな黒衣の僧侶で、あとは胴巻姿の武士どもだった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの殿樣の評判は滅茶々々ですよ。領地で何遍百姓一
揆
(
き
)
が起きたか勘定しきれない程で、あの養子の直之進が
下總
(
しもうさ
)
へ行つて來たのも、それを
撫
(
なだ
)
めるためだつたさうですよ」
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
すると、また、次の日、小沛の役所の門外に、わいわいと一
揆
(
き
)
のような領民が集まって来た。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は
脚絆
(
きやはん
)
に
草鞋
(
わらぢ
)
と言つた裝束で、手槍を擔ぎ、子分達はさすがにそれほど大袈裟には用意しませんが、それでもいゝ若い者が、百姓一
揆
(
き
)
見たいに、竹槍まで
提
(
ひつさ
)
げて押し廻したのですから
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
旗本十二人のいでたちも、兵の笠じるしも、荷駄の
足軽脚絆
(
あしがるきゃはん
)
までが、総じて黄色と白のだんだらだった。“山吹備え”“山吹一
揆
(
き
)
”とこれは都でも人目をそばだてた特徴なのだ。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
揆
(
き
)
が事を起す前に七人の同志と江戸に
潜行
(
せんかう
)
し將軍御膝元で事を擧げるつもりでしたが、島原の亂も案外早く平定し、徳川の
礎
(
いしずゑ
)
はいよ/\
鞏固
(
きようこ
)
で、痩浪人の策動では何うにもならないと解ると
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人の後ろにかがんでいては恩賞にも
屁
(
へ
)
にもならぬ。そのままにさえ踏みつけ去られる。これが
時人
(
じじん
)
のあたまにあった。道行く列の
色
(
いろ
)
一
揆
(
き
)
なども、つまりは、おれ見よがしの流行だろうか。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少しも面白かあねえ、まるで百姓一
揆
(
き
)
だ。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
きのう
北越
(
ほくえつ
)
に上杉勢と
相搏
(
あいう
)
っていたかと思えば、たちまち
伊勢
(
いせ
)
の一
揆
(
き
)
を討ち、また返って、
江州
(
ごうしゅう
)
の浅井を
屠
(
ほふ
)
り、転じて朝倉を亡ぼし、更に
叡山
(
えいざん
)
へ火の手をかけているという
疾風迅雷
(
しっぷうじんらい
)
ぶりである。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古今
奸雄
(
かんゆう
)
の計ることは、おおよそ
揆
(
き
)
を一にしておりまするて
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「佐々木殿の
山吹
(
やまぶき
)
一
揆
(
き
)
」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
揆
漢検1級
部首:⼿
12画
“揆”を含む語句
一揆
百姓一揆
一向一揆
土一揆
一揆方
切支丹一揆
同揆
天草一揆
柊揆
繭糸一揆
農民一揆
門徒一揆