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掻曇
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かきくも
ふりがな文庫
“
掻曇
(
かきくも
)” の例文
折から
一天
(
いってん
)
俄
(
にわか
)
に
掻曇
(
かきくも
)
りて、
颷
(
ど
)
と吹下す風は海原を
揉立
(
もみた
)
つれば、船は
一支
(
ひとささえ
)
も
支
(
ささ
)
えず矢を射るばかりに突進して、
無二無三
(
むにむさん
)
に沖合へ流されたり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
洗ふ
水音
(
みづおと
)
滔々
(
たう/\
)
として其の夜は
殊
(
こと
)
に一
天
(
てん
)
俄
(
には
)
かに
掻曇
(
かきくも
)
り
宛然
(
さながら
)
墨
(
すみ
)
を
流
(
なが
)
すに似て
礫
(
つぶて
)
の如き
雨
(
あめ
)
はばら/\と降來る
折柄
(
をりから
)
三更
(
さんかう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
小夜
(
さよ
)
更
(
ふ
)
けてから降り出した
小雨
(
こさめ
)
のまた
何時
(
いつ
)
か知ら
止
(
や
)
んでしまった
翌朝
(
あくるあさ
)
、空は初めていかにも秋らしくどんよりと
掻曇
(
かきくも
)
り、
濡
(
ぬ
)
れた小庭の植込からは
爽
(
さわやか
)
な涼風が動いて来るのに
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
たゆたひて、知らずや、かしこ
掻曇
(
かきくも
)
る
夜
(
よる
)
の
一天
(
いつてん
)
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
日中
(
ひなか
)
は
硝子
(
ビイドロ
)
を焼くが如く、
嚇
(
かっ
)
と晴れて
照着
(
てりつ
)
ける、が、
夕凪
(
ゆうなぎ
)
とともに
曇
(
どん
)
よりと、水も空も疲れたように、ぐったりと雲がだらけて、
煤色
(
すすいろ
)
の飴の如く
粘々
(
ねばねば
)
と
掻曇
(
かきくも
)
って、日が暮れると墨を流し
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
恁
(
かく
)
て、
數時間
(
すうじかん
)
を
經
(
へ
)
たりし
後
(
のち
)
、
身邊
(
あたり
)
の
人聲
(
ひとごゑ
)
の
騷
(
さわ
)
がしきに、
旅僧
(
たびそう
)
は
夢
(
ゆめ
)
破
(
やぶ
)
られて、
唯
(
と
)
見
(
み
)
れば
變
(
かは
)
り
易
(
やす
)
き
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
の、
何時
(
いつ
)
しか
一面
(
いちめん
)
掻曇
(
かきくも
)
りて、
暗澹
(
あんたん
)
たる
雲
(
くも
)
の
形
(
かたち
)
の、
凄
(
すさま
)
じき
飛天夜叉
(
ひてんやしや
)
の
如
(
ごと
)
きが
縱横無盡
(
じうわうむじん
)
に
馳
(
は
)
せ
𢌞
(
まは
)
るは
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻
漢検準1級
部首:⼿
11画
曇
常用漢字
中学
部首:⽇
16画
“掻”で始まる語句
掻
掻巻
掻込
掻合
掻廻
掻消
掻口説
掻取
掻分
掻乱