推察すゐさつ)” の例文
よもや今更いまさらわすれもしめへと云ふと長庵落付おちつきはらひ夫は其方そなたが殺した話し此長庵は知らぬ事御奉行樣宜敷御推察すゐさつ願ひますと申立れば越前守殿かねて目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そは土器表面し付け模樣もようの中に撚りを掛けたるひもあと有るを以て推察すゐさつせらる。撚りの有無とつる強弱きよじやくとの關係は僅少の經驗けいけんに由つてもさとるを得べき事なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
母親の心をも推察すゐさつしてやるやうにと、伯父をぢの忠告を待たずともよくわかつてゐる事を述べつゞけたのであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「どうしたね、わたしのつかないことをしてたが、おまへ丸燒まるやけやうあるまいがすこしはぜにでもつてくかね」内儀かみさんは勘次かんじこゝろ推察すゐさつしたやうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれはそのあね訪問はうもんによつて、その身柄みがら教養けうやう程度ていどを、ほゞ推察すゐさつすることが出来できた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
料理人クツク片手かたて胡椒こせうはこもつました、あいちやんはすでかれ法廷ほふていはいらぬまへに、戸口とぐちちかく、通路とほりみち人民じんみんどもが、きふくさめをしはじめたので、たゞちにそれがだれであつたかを推察すゐさつしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
屹度お預け申すなりとて夫婦連立つれだち田原町へかへ即刻そくこく老母變死の始末より此儀はよめ菊と申者の仕業しわざ推察すゐさつ仕つり候間御吟味願ひ上奉つるとの趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ことに自分が過去の経歴を囘想くわいさうすれば、蘿月らげつ長吉ちやうきちの心のうちは問はずとも底の底まであきらかに推察すゐさつされる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
果さず候に付亂心らんしんの藤五郎を誘引さそひ出し惡巧わるだくみ致すべく存念と推察すゐさつ仕つり候之に因て渠等かれら御召捕之上其すぢ御吟味下し置れ候やう仕つり度此段書付を以て御屆申上候
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)