“囘想”の読み方と例文
読み方割合
くわいさう100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ことに自分が過去の経歴を囘想くわいさうすれば、蘿月らげつ長吉ちやうきちの心のうちは問はずとも底の底まであきらかに推察すゐさつされる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「へーえ、役者になりたい。」いぶかもなく蘿月らげつは七ツ八ツのころによく三味線しやみせん弄物おもちやにした長吉ちやうきち生立おひたちを囘想くわいさうした。「当人たうにんがたつてと望むなら仕方しかたのない話だが………困つたものだ。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
自分は何故なぜあの時あのやうな心にもない意見をして長吉ちやうきちの望みをさまたげたのかと後悔こうくわいの念にめられた。蘿月らげつはもう一度思ふともなく、女に迷つて親のいへ追出おひだされた若い時分じぶんの事を囘想くわいさうした。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)