押込おしこみ)” の例文
ふと気が着いて見ると、箪笥たんすを入た押込おしこみの襖がけっ放して、例の秘密の抽斗ひきだしが半分開いていた。自分は飛びった。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「いま押込おしこみがはいってうちじゅうの物を持っていこうとしています。どうか早く、早く来てください」
押込おしこみ斬合きりあい、——そして最後に彰義隊の戦争から、寛永寺三十六坊の炎上、八百八町の落武者狩までの、血と焔の印象が、まだまだそんな事では表現し切れなかったのです。
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
一、上野介殿御屋敷へ押込おしこみはたらきの儀、功の浅深せんしんこれあるべからず候。上野介殿しるしあげ候者も、警固けいご一通ひととおりの者も同前たるべく候。しかれ組合くみあわせ働役はたらきやくこのみ申すまじく候。もっとも先後のあらそい致すべからず候。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
人心噪然そうぜんとしてたださえ物議の多い世の様、あらぬ流言蜚語りゅうげんひごたくましうする者の尾に随いて脅迫ゆすり押込おしこみ家尻切やじりきり市井しせいを横行する今日このごろ、卍の富五郎の突留めにはいっそうの力を致すようにと
なすか又は家尻やじりにても切しならんかれは元浪人者だと云から表向おもてむきは一文貰ひ内職ないしよくには押込おしこみ夜盜よたうをするに相違なし兎角とかく然樣さうなければ金の出來るはずはなし假令よしや然樣なくとも我が胸算むなさんの相違なればきやつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
百「何うしただって婆さま、押込おしこみ這入はえったゞ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
つかはし候處本復ほんぷく次第しだいに禮すると云て行方も知れず出行候と申ければ役人やくにん住所は何處とも云ざりしかと問ふに道達だうたつ夜中に押込おしこみほどの者共に候へば一かうや所は申さずとこたふるにぞ大概おほかた其者ならんと思へども手きず
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「角の米屋へ押込おしこみが入りました」
あげをりこそあれ召捕めしとりの役人どや/\と押込おしこみ御用なり尋常じんじやうなはに掛れと勢猛いきまきのゝしるにぞ道十郎は驚きてすわなほし拙者に於ては御召捕に相成べきいはれ無し其は人違ひとちがひにては候はずやといはせも果ず役人共言譯いひわけあら白洲しらすにて申べしと病痿やみほいけたる道十郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)