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技倆
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ふりがな文庫
“
技倆
(
うで
)” の例文
谷中へ越した時は、もはや娘は十四、五歳で、師匠は、まだ肩上げも取れぬけれども、絵の
技倆
(
うで
)
は技倆だからといって
許
(
ゆるし
)
をくれました。
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
自分は芥川氏の作品を餘り好まないが、しかしそのづばぬけた「
技倆
(
うで
)
」の冴えには敬服してゐる。「奉教人の死」も亦勝れたる作品であると思つた。
貝殻追放:012 向不見の強味
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
お前の
技倆
(
うで
)
でこの難場を盛り返すようにと仰せられたそうだが、そこは執事のご筆頭だ、いかに主人の
命令
(
いいつ
)
けでもへいへいするばかりが能ではない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「喜劇が出来るの出来ないの、そんなどころの沙汰じゃァねえんだ。——どだい、そんな、——はじめッからそんな
技倆
(
うで
)
のある役者じゃァなかったんだ。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
かほどの
技倆
(
うで
)
をもちながら
空
(
むな
)
しく
埋
(
うず
)
もれ、名を発せず世を経るものもあることか、
傍眼
(
わきめ
)
にさえも気の毒なるを当人の身となりてはいかに口惜しきことならん
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
押しいただいた平馬、——闇太郎の
技倆
(
うで
)
は、すでに知ったことではあり、高の知れた仕事に、これは過分の前褒美と、胸をとどろかして、御前を辞して出る。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
この真に迫り過ぎた名優振りには、
流石
(
さすが
)
の私も舌を巻かざるを得なかった。……これ程のすごい
技倆
(
うで
)
を持った女優は、西洋にも日本にも滅多に居ないであろう。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ホテルの料理人でも西洋料理屋の料理人でも家庭料理風な上等の料理を作る
技倆
(
うで
)
のある人物はないとも限りません。客が注文したら随分
作
(
つ
)
くる者もあるでしょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
以前
(
もと
)
、新橋のK……で叩き上げた
技倆
(
うで
)
だと、自慢してる丈の事は有って、年は二十八だが、相応に庖丁も効き、つい此間迄は、浅草の、好く流行る二流所の
割烹
(
りょうりや
)
の板前だった。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
が
什麽
(
どんな
)
であるかは
思
(
おも
)
はなかつた。
又
(
また
)
恁
(
か
)
ういふ
人々
(
ひとびと
)
の
憐
(
あは
)
れなことも
想
(
おも
)
ひやる
暇
(
いとま
)
がなかつた。さうして
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
技倆
(
うで
)
が
愉快
(
ゆくわい
)
になつた。
彼
(
かれ
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
土手
(
どて
)
から
見
(
み
)
おろした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
実は鉄斎の腹の中で
技倆
(
うで
)
からいっても勝つべき若者——
婿
(
むこ
)
として
鑑識
(
めがね
)
にかなった諏訪栄三郎という高弟がひとりちゃんと決まっていればこそ、こんな
悪戯
(
いたずら
)
をする気にもなったのだろうが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
心配しないで
呪
(
まじなひ
)
でもして待つが宜いさと慰めるやうな朋輩の口振、力ちやんと違つて私しには
技倆
(
うで
)
が無いからね、一人でも逃しては殘念さ、私しのやうな運の惡るい者には呪も何も聞きはしない
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「百人二百人
乾児
(
こぶん
)
もあるが、度胸からいっても
技倆
(
うで
)
からいっても、猿若以上の奴はないよ。年といったらやっとこさ十五、それでいて仕事は一人前さ」
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それはあれだけの人だ。——あれだけの
技倆
(
うで
)
をもった人だ。——だから喜劇へ行けば行ったでまたそれだけのことはしたに違いない。——したには違いなかったろうが……」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
芥川氏の惡戲の興味の爲めに本間氏の如き批評家の存在は祝すべきであるが、同時に芥川氏の如きいい「
技倆
(
うで
)
」の作家の爲めに、そんな惡戲の滿足を喜ばせて置くのは面白くない。
貝殻追放:012 向不見の強味
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
技倆
(
うで
)
自慢のおまえさん、何とか、すばらしいところを見せたらどう? 気合の術から、白刃とり、お芝居や講釈で、評判だけを聴いている、武芸の奥義を、あらん限り知っているような
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
時〻は口惜くて
技倆
(
うで
)
もない癖に智慧ばかり達者な奴が憎くもなりまするは、御上人様、源太様は羨ましい、智慧も達者なれば
手腕
(
うで
)
も達者、あゝ羨ましい仕事をなさるか、
我
(
おれ
)
はよ、源太様はよ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
心配しないで
呪
(
まじなひ
)
でもして待つが
宜
(
い
)
いさと慰めるやうな
朋輩
(
ほうばい
)
の
口振
(
くちぶり
)
、
力
(
りき
)
ちやんと違つて
私
(
わた
)
しには
技倆
(
うで
)
が無いからね、一人でも逃しては残念さ、私しのやうな運の悪るい者には呪も何も聞きはしない
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
山吹をお靡かせ遊ばすほどの
技倆
(
うで
)
のあるお殿様でございましたら、この鳰鳥もお殿様をお慕い申すでございましょう
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
時々は口惜しくて
技倆
(
うで
)
もない癖に知恵ばかり達者な奴が憎くもなりまするわ、お上人様、源太様は羨ましい、知恵も達者なれば
手腕
(
うで
)
も達者、ああ羨ましい仕事をなさるか、
我
(
おれ
)
はよ、源太様はよ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
心配
(
しんぱい
)
しないで
呪
(
まじなひ
)
でもして
待
(
ま
)
つが
宜
(
い
)
いさと
慰
(
なぐ
)
さめるやうな
朋輩
(
ほうばい
)
の
口振
(
くちぶり
)
、
力
(
りき
)
ちやんと
違
(
ちが
)
つて
私
(
わた
)
しには
技倆
(
うで
)
が
無
(
な
)
いからね、
一人
(
ひとり
)
でも
逃
(
にが
)
しては
殘念
(
ざんねん
)
さ、
私
(
わた
)
しのやうな
運
(
うん
)
の
惡
(
わ
)
るい
者
(
もの
)
には
呪
(
まじなひ
)
も
何
(
なに
)
も
聞
(
き
)
きはしない
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と、その時隣室から「
技倆
(
うで
)
がないな、どうしたんだ」こう云いながらノッソリと、姿をあらわした武士がある。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
同じ家中にいた頃は、身分の相違で圧迫され、同じ
剽盗
(
ひょうとう
)
になってからも、
技倆
(
うで
)
の違いで威圧された、その鬱憤を晴らすのが、何んとも云えず楽しいらしい。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかしこれは造酒の方で、多少手加減をするからで、造酒の方が
技倆
(
うで
)
は上であった。定吉に至ると剣道学者で、故実歴史には通じていたが、剣技はずっと落ちていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
技倆
(
うで
)
の相違がそうさせるのであり、十畳敷きほどの狭いこの部屋の中に、恐ろしい相手が確かにおりながら、その姿が見えないということが、そうさせるのであった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その中たとえ一個でも汝の体に当たったなら、我より
技倆
(
うで
)
の鈍い証拠。一旦別れて修行をし、その上再び立ち合いしよう。一つも当たらぬその時は、我より汝が勝った証拠。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それほど用心しないことには、細作として
技倆
(
うで
)
を揮うことが、出来なかったに相違ない。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
冑の前立をかつかつ射落とし、眉間を外した
技倆
(
うで
)
で知れる!
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
技倆
(
うで
)
自慢の刑事はこう云って、みんなの顔を見廻わした。
死の航海
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
凄い
技倆
(
うで
)
、二人三人、外伝と新助とは投げ飛ばした。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お前の
技倆
(
うで
)
も立派なものだな」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
技
常用漢字
小5
部首:⼿
7画
倆
漢検1級
部首:⼈
10画
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技倆骨柄