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うちあ
すでに一
隻は
右舷より
左舷に、
他の一
隻は
左舷より
右舷に、
見る
間に
甲板傾き、
濤打上げて、
驚き
狂ふ
海賊共は、
大砲小銃諸共に、
雪崩の
如く
海に
落つ。
と、
海が
凪いだ
後を、ぶる/\
震へる
波のやうな
畳の
上に、
男だか
女だか、
二人ばかり
打上げられた
躰で、
黒く
成つて
突伏した
真中に、
手酌でチビリ/\
飲つて
居た
亭主が、むつくり
頭を
上げて
浪の
江丸さへ
無事であつたら、
私が
巧く
舵をとつて、
直ぐに
日本まで
送つてあげるのだが、
此前の
大嵐の
晩に、とうとう
磯に
打上げられて、めちや/\になつて
仕舞つたから