手配てくば)” の例文
小田刑事は、数名の腕利きの刑事を先へ送って手配てくばりをさせ、私たち三人は小田刑事とともに、自動車に乗って後から出かけました。
暗夜の格闘 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
これ/\う云う姿の武家ていと申し上げたので、人相書を作り八方十方へお手配てくばりに成り箱根の前まで手が廻る事に成ったが、知れません。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けれど、それはゆうべの問題ではなく、もう日限にちげん切迫せっぱくしてきた、御岳みたけの山における兵学大講会へいがくだいこうえ奉行ぶぎょうめいぜられた長安ながやす下準備したじゅんび手配てくばりの評議ひょうぎ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女ながらも一党のかしら、隙のない手配てくばりを云い渡したが、やがて土塀へ手をかけると、翩翻へんぽんと向こうへ飛び越した。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
二人宛ふたりづゝはうからすゝんで、あなこも幻子げんし包圍攻撃はうゐこうげきしてらうといふので、それ/\に手配てくばりしたが、活東子くわつとうし不間ぶまつて、かへつて幻花子げんくわしはうから突貫とつくわんきたつたのであつた。
討手うって手配てくばりが定められた。表門は側者頭そばものがしら竹内数馬長政たけのうちかずまながまさが指揮役をして、それに小頭こがしら添島九兵衛そえじまくへえ、同じく野村庄兵衛しょうべえがしたがっている。数馬は千百五十石で鉄砲組三十ちょうかしらである。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それに対して、穴穂王あなほのみこのほうでもぬからずいくさ手配てくばりをなさいました。こちらでも穴穂矢あなほやといって、後のの矢と同じように鉄の矢じりのついた矢を、どんどんおこしらえになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
使につかはし奉行所に通じければ直樣すぐさま捕方の者駈來かけきたりしがいまだは明ざるにつき四方へ手配てくばりをなし山同心をも借集かりあつめて取卷せ夜明方に原田平左衞門はらだへいざゑもんはじめ踏込ふみこみるに夜具やぐあたゝかにて二人ねむり居る故是程のさわぎを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ああ、子供たちの身も気がかりな……それに、阿波の手配てくばりも思いのほか厳しい様子、この分ではさすがの彼も」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急ぎ長洞村へ歸り大坂の首尾しゆび斯樣々々かやう/\の場所へ普請ふしん出來しゆつたいの事まで申のべければ常樂院が留守中に此方こなたも出立の用意調とゝのひ居ればあらば發足有べしとて其手配てくばりに及びける頃は享保十一年四月五日いよ/\常樂院のもと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
奉行所へ、船手組へ、各郡代官所へ、急に手配てくばりを命ずべく、若侍の早馬が次々に大手の橋から城下へわかれる。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上では、城内の武士が声をからして、八ぽうへ手配てくばりをさけびつつ、縄梯子なわばしごを、石垣のそとへかけおろしてきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こいつは大敵、ゆだんがならねえ、すぐ手配てくばりして、要所ようしょ要所を厳重げんじゅうにかためろ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)