こり)” の例文
また偶時たまには、うツかり足を踏滑らして、川へはまり田へころげ、濡鼠ぬれねずみのやうになツて歸ツた事もあツたが、中々其樣な事にこりはしない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
私は舌をあらしているのにこりもせず、煙草を取り出して火をつけた。そして路のきを見ると路に沿って山吹や木苺が叢生していた。
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
どこにどうしていたのか、この二人は流鏑馬を当て込んで、またしょうこりもなく、この甲府へ入り込もうとするらしい。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
トロリとした鶴見つるみ神奈川かながはぎて平沼ひらぬまめた。わづかの假寢うたゝねではあるが、それでも氣分きぶんがサツパリして多少いくら元氣げんきいたのでこりずまに義母おつかさん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
されていのち辛々から/″\にげやつなり然れども少しは是にこりしと見え其後は惡き事もなさず中年にて奉公に住込すみこみ隨分身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「年々色をかえ品をかえたる流言の妄説うそばなしこりも無く毎年ばかされて、一盃ずつうまうまと喰わさるる衆中」
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
お春さんも森川の加勢をして、乃公の事をしょうこりもない悪戯小僧だと言った。お島まで、お母さんが留守だもんだから、向う組になりやがった。そして何でもでも乃公が悪いのにしてしまった。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
これにこりて今度はモツト気をつけるがい。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
このまざるによりしひてと申譯もなしと云ふに亭主は大いによろこびて早々さう/\彌助やすけをよび我等より御客おきやくさまへ御詫おわびも申上たるに早速御勘辨下されたり然れども是にこり以來いらいよく/\氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
乃公の家へ来て非道ひどい目に遇い続けだ。気絶をさせられたり、杖を折られたり、帽子を忠公に持って行かれたり、どうも散々な事ばかりだ。それでもしょうこりもなくやって来る。真正ほんとうに無神経な男だ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
謝斷せかれしが煩惱ぼんなうの犬におはなほこりずまに忍び通ひけるうち或夜あるよわかい者共の目にかゝ引捕ひつとらへられ桶伏をけふせにぞせられける是は据風呂桶すゑふろをけふせ其上へ大いなる石をあげ鐵砲を引拔ひきぬき其穴よりわづかに食物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
普通なみの人ならの鰻で気絶してからは来なくなるのが当然あたりまえだ。井上さんなんか乃公が眼をつっついて見てからは死んだか生きたかさえ分らなくなってしまった。然るに此教師は全くしょうこりもない奴である。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)