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ぐず
ふりがな文庫
“
愚図
(
ぐず
)” の例文
旧字:
愚圖
愚図
(
ぐず
)
愚図してるんだ! おれがこうして、さり気なく話の
撥
(
ばつ
)
を合わして
足停
(
あしど
)
めしておくあいだに、すっかりこの家の廻りにも
手配
(
てはい
)
を
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
じゃなぜ不平だというと、金が取れないからだ。ところがあいつは
愚図
(
ぐず
)
でもなし、馬鹿でもなし、相当な頭を持ってるんだからね。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
愚図
(
ぐず
)
のフランス人らがそんな大きな胃袋をもってるのに、クリストフは感嘆させられた。だが彼らはそれくらいのことには平気だった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「さあ出掛けよう、君はゆっくりしていらしって下さい。」と言いながら「なにを
愚図
(
ぐず
)
愚図しているんだ。出かけよう。」
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「やっぱり
愚図
(
ぐず
)
々々していちゃ危険だ」と眠っていたとばかり思っていた青年がその時出しぬけに起き上がって言った。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
▼ もっと見る
そして雷横とともに、なおそこらを
愚図
(
ぐず
)
ついたあげく、一度門外へ出て、手下の捕手へわざと仰山な身振りで言った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ボウルドの前へ出ようとして
中戻
(
ちゅうもどり
)
をしたり、
愚図
(
ぐず
)
々々
迷
(
まご
)
ついてる間に、
柝
(
たく
)
が鳴って、時間が済むと、先生はそのまんまでフイと行ってしまうんだッて。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
意気
(
いき
)
でも
野暮
(
やぼ
)
でもなく、なおまた、若くもなく
老
(
ふ
)
けてもいない、そしてばかでも高慢でもない代りに、そう
悧巧
(
りこう
)
でも
愚図
(
ぐず
)
でもないような彼女と同棲しうるときの
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
今から思うと
真
(
まこと
)
に詰まらないことだが、子供の頭は大人と違う。学校が
厭
(
いや
)
になって時々
愚図
(
ぐず
)
を言った。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
愚図
(
ぐず
)
々々と都会生活の安逸にひたっていたのが失敗の基である、その点やはりあなたがたにも罪はある、それにまた、
罹災
(
りさい
)
した人たちはよく、焼け出されの丸はだかだの
やんぬる哉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「馬鹿野郎、吾らはそんな世迷言にかす耳を有たぬぞ、こうなった上は一寸の光陰も軽んずべからずだ、
愚図
(
ぐず
)
愚図
(
ぐず
)
すれば
撲
(
ぶ
)
ち殺されるぞ、生命が惜しくば早く下れ下れ!」
太陽系統の滅亡
(新字新仮名)
/
木村小舟
(著)
やはりなにかで叱られたか、若しくは自分の願いが退けられたかして、私は
愚図
(
ぐず
)
ついていた。母は台所でなにか用をしていた。私は茶の間にいた。ほかに誰もいなかった。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
のろまで
愚図
(
ぐず
)
の
悟浄
(
ごじょう
)
のことゆえ、
翻然大悟
(
ほんぜんたいご
)
とか、
大活現前
(
だいかつげんぜん
)
とかいった
鮮
(
あざ
)
やかな芸当を見せることはできなかったが、徐々に、目に見えぬ変化が
渠
(
かれ
)
の上に働いてきたようである。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
生来
(
うまれつき
)
、
頭脳
(
あたま
)
はそんなに悪いとは思いませんけれど、
至
(
いた
)
って挙動が鈍く手先が不器用ですから、小学校時代には「のろま」中学校時代には「
愚図
(
ぐず
)
」という月並な
綺名
(
あだな
)
を貰いました。
痴人の復讐
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「おれは、こういう
愚図
(
ぐず
)
が死ぬほど嫌いなんだ!」そして、今度は声を張りあげて、こう言い足した。「じゃあ、勝手にしろよ、家へ帰って女房とさんざいちゃつくがいいや、助平野郎め!」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
『
愚図
(
ぐず
)
々々していれば、逃げられてしまうかどうか分からない』
想い出
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
急に繁は節子の方へ行って何物かを求めるように
愚図
(
ぐず
)
り始めた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
愚図
(
ぐず
)
々々しているから、そんなのに当るんだで。」
米
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
「お前さんはいつもそれだからいけないんだよ。いつもどうでもいいだろうと来るんだものね。お前さんがしっかりしてくれなくちゃ困るじゃないか。どうしてそう
愚図
(
ぐず
)
なんだろうね。お酒ばかり
喰
(
くら
)
ってさ……。」
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
(病人なら病人らしく死んじまえ。
治
(
なお
)
るもんなら治ったら
可
(
よ
)
かろう。何んだって
愚図
(
ぐず
)
ついて、
煩
(
わずら
)
っているんだ。)
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ
愚図
(
ぐず
)
な貧しい心から自分の生れつきをそんなに悲しんではいないだけである。
落穂拾い
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
たまに雑誌社の人が私のところに詩の註文を持って来てくれると、私をさし置いて彼女自身が膝をすすめて、当今の物価の高い事、亭主は
愚図
(
ぐず
)
で頭が悪くて横着で一つも信頼の出来ぬ事
男女同権
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
貧弱なる日本ではあるが、
余
(
よ
)
にはこれほどまでに
愚図
(
ぐず
)
が
揃
(
そろ
)
って科学を研究しているとは思えない。その方面の知識に
疎
(
うと
)
い
寡聞
(
かぶん
)
なる余の頭にさえ、この
断見
(
だんけん
)
を否定すべき材料は充分あると思う。
学者と名誉
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ちッ。
愚図
(
ぐず
)
だなあ武大さんときたら。何をまごまごしてるのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
取っ
憑
(
つ
)
かれた番頭の兼七、すべったころんだど
愚図
(
ぐず
)
っている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ええ、何を
愚図
(
ぐず
)
々々、もうお
前様方
(
めえさまがた
)
のように思い
詰
(
つめ
)
りゃ、これ、人一人殺されねえことあねえ
筈
(
はず
)
だ。吾、はあ、自分で腹あ突いちゃあ、旦那様に済まねえだ。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
校長ってものが、これならば、何の事はない、
煮
(
に
)
え
切
(
き
)
らない
愚図
(
ぐず
)
の異名だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勝気な人なのですが、私の
愚図
(
ぐず
)
なのがただいとしまれるのでしょうか、いつも私の気の引き立つように仕向けてくれます。お母さん、私達はまたあなたのことをも話しあうようになりましたよ。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「何を
愚図
(
ぐず
)
愚図申しおる」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
呼べ、と言えば、
婦
(
おんな
)
どもが
愚図
(
ぐず
)
々々
吐
(
ぬか
)
す。
新枕
(
にいまくら
)
は
長鳴鶏
(
ながなきどり
)
の
夜
(
よ
)
があけるまでは待かねる。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愚図
(
ぐず
)
々々
吐
(
ぬか
)
すと、処々に
伏勢
(
ふせぜい
)
は配ったり、朝鮮伝来の地雷火が仕懸けてあるから、合図の
煙管
(
きせる
)
を
払
(
はた
)
くが最後、芳原は
空
(
くう
)
へ飛ぶぜ、と威勢の
好
(
い
)
い
懸合
(
かけあい
)
だから、一番景気だと帳場でも買ったのさね。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愚
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
図
常用漢字
小2
部首:⼞
7画
“愚図”で始まる語句
愚図愚図
愚図々々
愚図〻〻