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いたずらもの
ふりがな文庫
“
悪戯者
(
いたずらもの
)” の例文
飛んでもない
悪戯者
(
いたずらもの
)
へ、あらゆる方法で捕獲の手が試みられた。だが、彼はそれに対してトンボや綱渡りを
酬
(
むく
)
いて見せるだけだった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日ならずして、彼は二三の友達を
拵
(
こしら
)
えた。その
中
(
うち
)
で最も親しかったのはすぐ前の医者の宅にいる彼と同年輩ぐらいの
悪戯者
(
いたずらもの
)
であった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あるいはまた、佳人薄命、懐玉有罪、など言って、私をして、いたく赤面させ、狼狽させて私に大酒のませる
悪戯者
(
いたずらもの
)
まで出て来た。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
不連続線という
悪戯者
(
いたずらもの
)
がなかったら、二人のうちのどっちかは、間もなく日本海を航行中の汽船のうえに助けられたかもしれないのだ。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
神田の
悪戯者
(
いたずらもの
)
が娘番付を
拵
(
こしら
)
えて、東の関脇に据えた
容色
(
きりょう
)
、疲れと怖れに、少し青くはなっておりますが、誰が眼にも、これは美しい娘でした。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
あの小僧はふだんから
悪戯者
(
いたずらもの
)
だけに、持っている
松明
(
たいまつ
)
を叩きつけて、一生懸命に逃げ出してあぶない所を助かったそうだ。
人狼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あくまで残忍な
悪戯者
(
いたずらもの
)
は、その身悶えするさまを快げに打ち眺めていたが、時分はよしと、やにわに抜く手も見せず、犬の頭を
刎
(
は
)
ねてしまった。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「これで正体がほぼわかった! もう心配をする必要はない。黙って
放抛
(
うっちゃ
)
っておくんだね。そのうちに僕が
悪戯者
(
いたずらもの
)
の沙漠の霊を捉らまえてやる」
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
前に竜之助を踏み越えたそれより小さい物体も、珍しいものではない、ドコにもいる鼠という
悪戯者
(
いたずらもの
)
であったのです。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「うまくいった。これで秘密が探れる。底の底までわかる。
悪戯者
(
いたずらもの
)
の
放蕩
(
ほうとう
)
に手をつけることができる。種本を手に入れたようなものだ。写真もある。」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ところで、その厳粛な顔をした
悪戯者
(
いたずらもの
)
が、だいたいどういう具合に人間神経の排列を変形させてゆくものだろうか、ここにちょうど恰好な例があるのだがね
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
というのは先生と我輩とは以上の如く
犬猿
(
けんえん
)
の間柄で、一方は民間学者の暴れ者、一方は役人の暴れ者、これを噛み合してみたら面白かろうというので、いわば
悪戯者
(
いたずらもの
)
どもが
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
鼠に関しては自分も少し書いてみる用意があり、
伊波普猷
(
いはふゆう
)
君もすでに論じておられるが、ともかくもこの小さな
悪戯者
(
いたずらもの
)
の
出自
(
しゅつじ
)
はニルヤであると、昔の島人らが信じていた証拠は幾つか有る。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
悪戯者
(
いたずらもの
)
どもはそれを面白がっていたが、後には
諢名
(
あだな
)
をつけて
孫痴
(
そんち
)
といった。
阿宝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
妻は燃えかすれる囲炉裡火に背を向けて、綿のはみ出た
蒲団
(
ふとん
)
を
柏
(
かしわ
)
に着てぐっすり寝込んでいた。仁右衛門は
悪戯者
(
いたずらもの
)
らしくよろけながら近寄ってわっといって乗りかかるように妻を抱きすくめた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
しかし翻って考えてみるに、人を見て法を説けという言葉もあり、この計画は雑誌社の人に対してはまず適用されないと思った。私もそこまでは
悪戯者
(
いたずらもの
)
ではない。人の営業妨害などはしたくない。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「その代り、静夫みたいな
悪戯者
(
いたずらもの
)
が居るから、気をおつけなさい。」
月明
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
警察はこのご念の入った
悪戯者
(
いたずらもの
)
をきびしく捜索することになった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
小夜子にもちょっと
悪戯者
(
いたずらもの
)
らしいところがあった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
逃後
(
にげおく
)
れて間拍子を失った
悪戯者
(
いたずらもの
)
。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中野お犬小屋の犬を、一夜に何十匹も殺した天下の
悪戯者
(
いたずらもの
)
は、大岡十家が、知っていながら
匿
(
かくま
)
いおいた同族五郎左衛門のせがれ亀次郎だと
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「勘定奉行の松本伊豆守から、田沼へ送った進物駕籠を奪った、
悪戯者
(
いたずらもの
)
はこのわしじゃよ。わしと三人の相棒じゃよ」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
解ったかい、石原の、お
願
(
ねげ
)
えだから、その縄を解いて俺に渡してくれ。あの
悪戯者
(
いたずらもの
)
や
誘拐
(
かどわかし
)
の悪者は、俺がキッと探し出して、お前の手柄にさしてやる
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ダリアの眼は
悪戯者
(
いたずらもの
)
らしく
爛々
(
らんらん
)
と輝いた。太い腕が、その封筒の方へニューッと延びていった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
街頭を行き来し、歌を歌い、銭投げをし、
溝
(
どぶ
)
をあさり、少しは盗みをもした。しかし
猫
(
ねこ
)
や
雀
(
すずめ
)
のように快活に盗みをやり、
悪戯者
(
いたずらもの
)
と言われれば笑い、悪者と言われれば腹を立てた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一座の者の
荒胆
(
あらぎも
)
を
挫
(
ひし
)
いで興がるために、火鉢の中へ弾丸をうずめておいたものがある。それが
刎
(
は
)
ね出した時に、一座の狼狽ぶりを見て笑ってやろうという
悪戯者
(
いたずらもの
)
があったのだと思いました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かねてからの文芸愛好の情に油をそそいで燃えあがらせた
悪戯者
(
いたずらもの
)
として、あの一枚の幻燈の画片を云々するよりは、むしろ、日本の当時の青年たちの間に
沸騰
(
ふっとう
)
していた文芸熱を挙げたほうが
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかも多少の程度において、和気
靄然
(
あいぜん
)
たる
翻弄
(
ほんろう
)
を受けるようにこしらえられている。与次郎は愛すべき
悪戯者
(
いたずらもの
)
である。向後もこの愛すべき悪戯者のために、自分の運命を握られていそうに思う。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新左衛門は、屋根裏の
悪戯者
(
いたずらもの
)
を睨んで、せっかくそれへ持ち出しておいた
茶布巾
(
ちゃふきん
)
と茶碗をもういちど洗いに立った。
微
(
かす
)
かな
塵
(
ちり
)
が落ちたものとみえる。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お嬢様、きっとこの平次が、
悪戯者
(
いたずらもの
)
を見付けてお目にかけます。——が、一つだけお尋ね申します」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
悪戯者
(
いたずらもの
)
の牛丸もにわかに態度を改めたが
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
悲鳴しながら、
拳
(
こぶし
)
の下で、小さい
悪戯者
(
いたずらもの
)
はまだ笑っていた。利家の打擲をくすぐったいように笑うのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「すると、
悪戯者
(
いたずらもの
)
は誰でしょう」
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
運命は
悪戯者
(
いたずらもの
)
というが、こんな弱者の家庭へも同じに見舞った。皮肉にも浜子の死後まもなく、ちょっと家運が開けた。どういう金が入ったのか、家は
鉄
(
かね
)
ノ橋側の吉田町二丁目へ引移った。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
悪戯者
(
いたずらもの
)
が解りましたか」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、その
悪戯者
(
いたずらもの
)
を、家の横から叱っていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この
悪戯者
(
いたずらもの
)
めが」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
戯
常用漢字
中学
部首:⼽
15画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“悪戯”で始まる語句
悪戯
悪戯盛
悪戯児
悪戯好
悪戯心
悪戯気
悪戯書
悪戯小僧
悪戯子
悪戯許