徽章きしやう)” の例文
だが主人は中学生の言葉で、その帽子の徽章きしやうをチラと見た。稲の輪のなかに「早工」と記してある。早稲田の工手学校の生徒だ。
姉弟と新聞配達 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
帽子をかむつて町へいくと、町の子供が徽章きしやうを見て、松吉、杉作が田舎から来たことをさとるに違ひありません。それが二人はいやだつたのです。
(新字旧仮名) / 新美南吉(著)
学習院の平素ふだんの制服といふのは、ぼたんのない詰襟つめゑりのホツクどめだが、加之おまけに帽子の徽章きしやうが桜の花になつてゐるので、どうかすると海軍士官に間違はれる。
それが瓢形ひさごがた駒岡こまをか記入きにふしたる銀鍍金ぎんめつき徽章きしやうを一やうけ、おなしるし小旗こはたてたくるま乘揃のりそろつて、瓢簟山ひようたんやまへと進軍しんぐん?したのは、なか/\のおまつさはぎ※
「うゝ。」といつたときふつくりしたはなのさきがふら/\して、で、むねにかけた赤十字せきじふじ徽章きしやうをはぢいたあとで
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
振返ふりかへればむねひか徽章きしやうやら、勳章くんしやうやらをげたをとこが、ニヤリとばか片眼かためをパチ/\と、自分じぶんわらふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
國語こくご國民思想こくみんしさう交換かうくわん聯絡れんらく結合けつがふ機關きくわんで、國民こくみん神聖しんせいなる徽章きしやうでもあり、至寶しはうでもある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
積上つみあげられたる雜具がらくたうへに、いつでも烟管きせるくはへて寐辷ねそべつてゐるのは、としつた兵隊上へいたいあがりの、いろめた徽章きしやういてる軍服ぐんぷく始終ふだんてゐるニキタと小使こづかひ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一先ひとまづ一どうは、地主ぢぬしの一にんたる秋山廣吉氏あきやまひろきちしたくき、其所そこから徒歩とほで、瓢簟山ひようたんやまつてると、やま周圍しうゐ鐵條網てつでうもうり、警官けいくわん餘名よめい嚴重げんぢゆう警戒けいかいして、徽章きしやうなきもの出入しゆつにふきんじてある。