おくれ)” の例文
すなはち一日のおくれとなるゆへ、四年目には一日して其間そのあひだ地球ちきうはしらしめ、丁度ちやうどもとところ行付ゆきつくつなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
掛たる爪折傘に草履取合羽籠等なり引續ひきつゞいて藤井左京も四人徒士にて長棒の駕籠にのり若黨わかたう四人黒叩き十文字もんじやりを持せ長柄傘草履取合羽駕籠等なり少しおくれて山内伊賀亮は白摘毛しろつみげの鎗を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「汽船や軍艦はもう時代おくれだからね。これからは何といっても飛行機だよ。——」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
向うへ対手あいてに廻しては、三味線の長刀なぎなた扇子おうぎ小太刀こだち、立向う敵手あいての無い、芳町育ちの、一歩を譲るまい、おくれを取るまい、稲葉家のお孝が、清葉ばかりを当のかたきに、引くまい、退くまい
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
をれしところちからよわりきれる事あり、是故このゆゑに上品の糸をあつかふ所はつよ火気くわき近付ちかづけず、時によりるにおくれて二月のなかばにいたり、暖気だんきを得て雪中の湿気しつきうすき時は大なるはちやうの物に雪をもりはたまえおき
……その年は、この月から一月おくれ師走しわすの末に、名古屋へ用があって来た。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此處ここへと申にぞ其儘そのまゝに差出せばいそふう押開おしひらきて是は三五郎の手跡しゆせきなり此文體ぶんていにては紀州表の調しらべ行屆ゆきとゞきたりと相見えいさみたる文段なりさりながら兩人のちやく是非ぜひ晝過ひるすぎならん夫迄は猶豫いうよ成難なりがた餘念ざんねんながら是非に及ばずせがれ忠右衞門おくれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)