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引出
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ひきだし
ふりがな文庫
“
引出
(
ひきだし
)” の例文
私が金に困つて古着屋を呼んで洋服を売つて居ても平気で見てゐたし、勝手元の
引出
(
ひきだし
)
に金が無ければ買物に出かけないだけであつた。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
しかしこころえ顔の係官たちは、床の上にはらばいになって器械台の下をのぞきこんだり、戸棚の
引出
(
ひきだし
)
をぬきだしたりして、どんどん仕事を進めていった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もう六十に近いと思う小柄の
爺
(
じい
)
さんが、貧相な
眼鏡
(
めがね
)
をかけてしょんぼりと仕事をしている。誰からか頼まれた直しものである。見ると船箪笥風の
引出
(
ひきだし
)
である。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
封じ目を固くして店の硯箱の上の
引出
(
ひきだし
)
に
半切
(
はんきれ
)
や状袋を入れる間へ
揷
(
はさ
)
んで、母が時々半切や状袋を出すから、此処へ入れて置けば屹度目に入ろうと斯様に致し
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さうして
洋卓
(
テーブル
)
の
引出
(
ひきだし
)
から西洋
鋏
(
はさみ
)
を
出
(
だ
)
して、ぷつり/\と
半分
(
はんぶん
)
程の長さに
剪
(
き
)
り
詰
(
つ
)
めた。さうして、大きな
花
(
はな
)
を、リリー、オフ、ゼ、ヷレーの
簇
(
むら
)
がる
上
(
うへ
)
に
浮
(
う
)
かした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ややありてお貞は心着きけむ、長火鉢の
引出
(
ひきだし
)
を明けて、渠に与うべき小銭を探すに、少年は
傍
(
かたわら
)
より
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女史は蟇口の中から金貨を一枚つまみあげ、戸棚のところへ持っていって
引出
(
ひきだし
)
をあけて、何かがちゃがちゃやっていたが、やがて何枚かの銀貨を持って戻って来た。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何といっても桐の箪笥が主で
引出
(
ひきだし
)
の出し入れが
滑
(
なめら
)
かなのが腕自慢であります。技は随分進みました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私
(
わたし
)
はたゞ
母
(
かあ
)
ちやん/\てツて
母様
(
おつかさん
)
の
肩
(
かた
)
をつかまいたり、
膝
(
ひざ
)
にのつかつたり、
針箱
(
はりばこ
)
の
引出
(
ひきだし
)
を
交
(
ま
)
ぜかへしたり、
物
(
もの
)
さしをまはして
見
(
み
)
たり、
縫裁
(
おしごと
)
の
衣服
(
きもの
)
を
天窓
(
あたま
)
から
被
(
かぶ
)
つて
見
(
み
)
たり
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの御新造様も大旦那様もお
逝去
(
かくれ
)
になりました、それに御養子はいまだにお
独身
(
ひとり
)
で御新造も持たず、貴方がお
出
(
いで
)
遊ばしてから
後
(
あと
)
で、
書置
(
かきおき
)
が御新造様の手箱の
引出
(
ひきだし
)
から出ましたので
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
云
(
い
)
ひながら、わざ/\
机
(
つくゑ
)
の
引出
(
ひきだし
)
から
小
(
ちひ
)
さな
鏡
(
かゞみ
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はただ母ちゃん母ちゃんてッて母様の肩をつかまえたり、膝にのっかったり、針箱の
引出
(
ひきだし
)
を交ぜかえしたり、物さしをまわしてみたり、
裁縫
(
おしごと
)
の
衣服
(
きもの
)
を
天窓
(
あたま
)
から
被
(
かぶ
)
ってみたり
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日は大変な
御謙遜
(
ごけんそん
)
で。……ところでこの幽霊の餌を、課長の机の上におく事にしたいですね。まちがうといけないから、他の書類は
引出
(
ひきだし
)
へでもしまって頂いて、机の上はこの餌だけを
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
重二郎殿が所有たるべきものでござる、諸方へ貸付けてある金子の書類は此の
箪笥
(
たんす
)
の
引出
(
ひきだし
)
にあって、娘いさが残らず心得て居ります、
敵
(
かたき
)
同志の此の
家
(
うち
)
の跡を
続
(
つ
)
ぐのはお
厭
(
いや
)
であろうが重二郎殿
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
座に着いて、針箱の
引出
(
ひきだし
)
から、
一糸
(
いっし
)
其の色
紅
(
くれない
)
なるが、
幼児
(
おさなご
)
の胸にかゝつて居るのを見て
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此方
(
こちら
)
は船へ乗り移ります、虫が知らせるか
互
(
たがい
)
に振り返る、其の内に船は岸を離れて帆を揚げる、風は悪いけれども忽ちに船は走りまして浦賀へ
着
(
ちゃく
)
致しまして、
自宅
(
うち
)
へ帰って
引出
(
ひきだし
)
を開けて見ると
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大きな
引出
(
ひきだし
)
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それからは畳を
歩行
(
ある
)
く
跫音
(
あしおと
)
もしない位、以前の
俤
(
おもかげ
)
の
偲
(
しの
)
ばるる鏡台の
引出
(
ひきだし
)
の隅に残った猿屋の
小楊枝
(
こようじ
)
の
尖
(
さき
)
で字をついて、膝も崩さず母親の前に
畏
(
かしこま
)
って、二年級のおさらいをするのが聞える。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
そ
)
うすると、弟が柔かな足で、くる/\遊び廻る座敷であるから、万一の
過失
(
あやまち
)
あらせまい為、注意深い、優しい姉の、今しがた店の
商売
(
あきない
)
に
一寸
(
ちょいと
)
部屋を離れるにも、心して深く
引出
(
ひきだし
)
に入れて置いた
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
之
(
これ
)
を指の
尖
(
さき
)
で
撮
(
つま
)
んで、
引
(
ひっ
)
くり返して、
引出
(
ひきだし
)
の中で立てて見た。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“引出”で始まる語句
引出物
引出茶屋