家屋敷いへやしき)” の例文
しか肝心かんじん家屋敷いへやしきはすぐみぎからひだりへとれるわけにはかなかつた。仕方しかたがないから、叔父をぢ一時いちじ工面くめんたのんで、當座たうざかたけてもらつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのあひだ相變あひかはらずたけつては、黄金おうごんれましたので、つひにはたいした身代しんだいになつて、家屋敷いへやしきおほきくかまへ、使つかひなどもたくさんいて、世間せけんからもうやまはれるようになりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
家屋敷いへやしきが、おとう樣の財産をみんなと、おれがその頃迄取つた月給とで出來た外に、不動産といつては、たつた五千圓どもしかありやあしない。おれの年俸は、講座給を入れて二千七百圓なのだ。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其方儀若年より不身持ふみもちに付兄九郎右衞門勘當かんだうを受け相摸國さがみのくに殿場てんば村百姓條七世話に相成居候中惡法あくはふを以て條七を難病に罹らせ同人つまてつ密通みつつうの上條七を追出し家屋敷いへやしき田畑たはた家財等かざいとう押領あふりやう致し條七娘里を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
伸一先生しんいちせんせい給料きふれうつき十八ゑんしか受取うけとりません、それで老母らうぼ妻子さいし、一にん家族かぞくやしなふてるのです。家産かさんといふは家屋敷いへやしきばかり、これを池上權藏いけがみごんざう資産しさんくらべてると百分一ひやくぶんのいちにもあたらないのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのかは宗助そうすけ自分じぶん家屋敷いへやしき賣却方ばいきやくかたつい一切いつさいこと叔父をぢ一任いちにんして仕舞しまつた。はやふと、急場きふば金策きんさくたいする報酬はうしうとして土地とち家屋かをく提供ていきようしたやうなものである。叔父をぢ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)