奇声きせい)” の例文
旧字:奇聲
返事とともに怪物群は、一せいに頭部とうぶをゆすぶって奇声きせいを放った。それはあざけりの笑い声のようにひびいた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
廊下ろうか欄間らんまへしのびこんだあやしき諜者ちょうじゃが、いきなり、奇声きせいをあげて長安ながやすかたへとびついた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
キツヽヽといふて奇声きせいはなつた、くだん小坊主こばうずそのまゝ後飛うしろとびにまたちゆうんで、いままで法衣ころもをかけていたえださきながつるさがつたとおもふと、くるりと釣瓶覆つるべがへしうへつて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はじ外聞がいぶんわすてたか、徳太郎とくたろうまつろうくちからは、同時どうじ奇声きせいきだされた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
春琴の繊手せんしゅ佶屈きっくつした老梅の幹をしきりにで廻す様子を見るや「ああ梅のうらやましい」と一幇間が奇声きせいを発したすると今一人の幇間が春琴の前に立ちふさがり「わたい梅の樹だっせ」と道化どうけ恰好かっこう
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
すると魚人たちは奇声きせいを発して左右にとびのいた。そのまん中の道を、オンドリと僕とが歩いていった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
腹立はらだたしげに、舌打したうちをしていかけると、それを持っていた三太郎猿さんたろうざるは、手をすべらして庭先にわさきやりを落としたので、十兵衛じゅうべえの方をふりかえると、ケン! と人をちゃにした奇声きせいはっしながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう二分と経たない間に沈んでしまうぞ」同室の将校達は、奇声きせいをあげて、非常梯子のすべ金棒かなぼうに飛びつくと吾勝われがちに、第一甲板かんぱんの方を目懸けて、降りて行った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ボーイが、そのトランクを持とうとしたら、博士は奇声きせいを発してしかりつけたことだった。
私は、自分でも、なんだかわけのわからない奇声きせいを発して、とび起きた。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
天井裏のブザーが、奇声きせいをたてて鳴った。