失敬しっけい)” の例文
失敬しっけいな!』と、一言ひとことさけぶなりドクトルはまどほう退け。『全体ぜんたい貴方々あなたがたはこんな失敬しっけいなことをっていて、自分じぶんではかんのですか。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そうすりゃあいつは、ぼくがこんなにみっともないくせして自分達じぶんたちそばるなんて失敬しっけいだってぼくころすにちがいない。だけど、そのほうがいいんだ。
馬の上の少年少女たちに失敬しっけいしてみたり、はた持ちの旗をかついだり、もうまったく夢中むちゅうになっています。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
それは黄色でね、もくもくしてね、失敬しっけいですが、ホモイさん、あなたなんかまだ見たこともないやつですぜ。それから、昨日きのうむぐらにばつをかけるとおっしゃったそうですね。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
どうも大宮君に違いないがと思って居ると、先生は「あなたはどなたですか。」「私は河口です。」「いやこりゃどうも失敬しっけいであった。」滑稽こっけいでもあり実にどうもおかしかった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「ああ、飲食装置のことだね。それは、今説明するのを忘れていた。失敬しっけい失敬」
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
失敬しっけいじゃないか。」と、小田おだが、さきになって、そのあといました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「明智さんから、あなたがたに、もう見はりをしなくっていいから、早くこちらへ来てくださいということでしたよ……。ぼくはちょっと、署まで用事がありますから、これで失敬しっけいします。」
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
(あっ、こっちですか。今日は。ご飯中はんちゅうをどうも失敬しっけいしました。ちょっとおたずねしますが、この上流じょうりゅうに水車がありましょうか。)わかいかばんをって鉄槌かなづちをさげた学生だった。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それでいて足音あしおとしずかで、ある様子ようす注意深ちゅういぶか忍足しのびあしのようである。せま廊下ろうかひと出遇であうと、まずみちけて立留たちどまり、『失敬しっけい』と、さもふとこえいそうだが、ほそいテノルでそう挨拶あいさつする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「じゃ失敬しっけい! お達者たっしゃで、また来年らいねんあおう。さようなら。さようなら。」
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
英語でそういうから自分も察して「いや失敬しっけいした」という訳で、それから一別以来の挨拶あいさつをして、一体あなたがチベットに居られるといううわさも聞いたが、殺されはしないかと案じて居ったという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「や、失敬しっけいっ。」とこえをかけて
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「じゃきみ失敬しっけい!」
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)