天罰てんばつ)” の例文
のがれたり共天罰てんばついかでまぬかるべきと屹度きつと覺悟を極め我思ふ仔細しさいありとて妻へ離縁状を渡し又番頭其外店の者一同へ金を與へていとま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「狐の穴の中に千兩箱を隱すのは思ひつきさ。盜る氣で入つた者が材木と石に押し潰されたんだからこいつは天罰てんばつとでも思はなきやなるまい」
で、それからっていうもの、夜、ぐっすり眠ったためしがないのだ。一生安眠を封じられても、こりゃ、天罰てんばつだ。わしは文句をいうところはない。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
ウフフ。これはどうも恐れ入った。口栄耀くちえいようをした天罰てんばつでござりますわい。お直参旗本千二百石取り疵の早乙女主水之介と言わるるお殿様が、干物を
「ハハハ……、仏さまが生きて動きだしたというんでしょう。天罰てんばつですぜ。二十面相に天罰がくだったんですぜ。」
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
したから、このくらいの天罰てんばつ当然とうぜんです。だが、死ぬまえにほんのわずかのあいだでも、善心ぜんしんにたちかえることができたのはぼくの一生のうちの幸福です
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
およそひと悪をなして天罰てんばつもれざる事、うをあみにもれざるがごとくなるゆゑ、これをたとへて天のあみといふめり。
わがおかせる罪のため、ついに私の上に天罰てんばつが下った。今や私はこの檻の中で餓死がしするばかりだ。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
てんびんぼうかなんかで、なぐころしにでもしなきや、はらむしがいえねえんですからね——。が、まア、ころされやがつて、天罰てんばつというところでしよう。ありがてえとおもいます。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
かならず天罰てんばつがあたるから。いつ氷河ひょうががやってくるかもしれない。あまり不意ふいで、げるひまのなかった、マンモスのにくが、まだくさらずに、こおりなかからたというではないか。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
背に腹はえられず、つい道ならぬ欲に迷いしために、たちま覿面てきめん天罰てんばつ受けて、かくも見苦しき有様となり、御目おんめにかかりしことの恥かしさよと、生体しょうたいなきまで泣き沈み、御恵おんめぐみにあずかりし時は
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
悪逆無道あくぎゃくむどう穴山入道あなやまにゅうどう天罰てんばつ明刀めいとうをくらえ!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わづらはぬ先に不義ふぎ不孝ふかう天罰てんばつならんか此所まで來る道すがら種々の艱難かんなんあひ用の金をさへ失ひし其概略そのあらましを語らんに兩人が岡山をかやま立退たちのきしより陸路くがぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さうですつてね、實はあつしも少し引つかゝりがあつて、あの師匠を怨んでゐましたが、天罰てんばつと言つちや濟まないが、——恐ろしいことですね」
「もう、それに、こんどというこんどは、雷さまの天罰てんばつにこりなさったろう」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きみもそうおもう。ぼくも、天罰てんばつがあたるとおもっている。」
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「見よ、悪業あくごう天罰てんばつを」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
天罰てんばつくだる
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「餘計な小細工をするから反つて惡事が露見するんだ。煙草入なんか持込まなきや、娘は頓死で濟むのに、——惡人はさうしたものだ、天罰てんばつだね」
配分はいぶんして大に歡びしが是ぞ天罰てんばつの歸する處にして右の町觸まちぶれの出し日は留守にて心得ず越後屋に反物たんものかり百三十兩あるを跡のためなれば先是をはらはんと思ひ越後屋へ右の小判こばん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして天罰てんばつとはいえ重傷を負っている烏啼を、遂に他愛たわいなく引捕ひっとらえた。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その四十九日を待ち兼ねて、八千兩の金を獨占ひとりじめにしようとするから、番頭さんも内儀さんもあんな眼に逢はされたでねえか、皆んな天罰てんばつといふものだ
天罰てんばつ下る
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「今でも滅茶々々に東海坊の惡口を言つて歩きますよ。あの野郎が燒け死んだのは天罰てんばつだ。もう三月も生きて居たら、この文七が殺す筈だつた——つて」
したのも天罰てんばつでございませう、——三輪の親分さん、白旗直八を殺したのはこの左孝に違ひございません。娘を助けてやつて下さいまし、お願ひで御座います
したのも天罰てんばつでございましょう、——三輪の親分さん、白旗直八を殺したのはこの左孝に違いございません。娘を助けてやって下さいまし、お願いでございます
仕掛けて、間違つて自分が飮んだのだ。天罰てんばつだよ、——善公にも勘太にも罪はない。のみでやられたと思つた死骸の肩の傷は、兩國の橋梁はしげたの釘かなんかでやられたんだらう
ふてえ野郎だ。主人の持物なんかと道行みちゆきをしやがって、人殺しの疑いくらいは天罰てんばつだと思えッ」
ふてえ野郎だ。主人の持物なんかと道行みちゆきをしやがつて、人殺しの疑ひ位は天罰てんばつだと思へツ」
「この通り、——親分はさすがに目が高けえ。峰の減つた、使ひ古しの剃刀かみそりとうを卷いた柄が、少し地べたの外へ顏を出してゐたのが、曲者の大縮尻おほしくじり天罰てんばつてきめんといふところだ」
曲者の手に噛り付いて刄物をもぎ取り、それを構へたまゝ眞つ直ぐに闇を突く——とこれが天罰てんばつと言ふものだらう、脇差は兄の市之助の胸に突つ立つて、あつと言ふ間に死んでしまつた。
「たうとうあの晩、金太郎は丸竹の弓をこさへ、天神樣の奉納の矢を持つて來て、庭から宇佐美直記を射たのだ、——神社から奉納の矢をはづして來たのは、天罰てんばつを下すといふ心持だつたと思ふ」
立てたのが一度切りで、忙しいのにまぎれて、鐵砲の灰の始末もしてゐなかつたさうで、この通り、鐵砲の灰に、小紋縮緬の燒けたのが、そつくりそのまゝ殘つてゐましたぜ、——こいつは天罰てんばつだね
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
忘れた方の手拭を持出そうとして見付からなかったのは天罰てんばつだよ、手拭は入口の沓脱の間に落ちて居て、お前の眼にも見付からなかったのだ——お前の様な悪い奴は無いぞ、なまけ者で小ばくち打で
天罰てんばつですよ、あの男の心掛けぢや、疊の上で死ぬわけはない」
「昨夜、其方の伜金之助を殺したのも、天罰てんばつと氣がつかぬか」
「胴腹を芋刺いもざしにされたのは天罰てんばつですよ、尤も——」
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
人手に掛つて相果てたのも、天罰てんばつといふものであらう
「よく知つてゐる。——天罰てんばつだな」
「フーム、天罰てんばつだな」