大跨おほまた)” の例文
やあ? きぬ扱帶しごきうへつて、するりとしろかほえりうまつた、むらさき萌黄もえぎの、ながるゝやうにちうけて、紳士しんし大跨おほまたにづかり/\。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と言つたきり、大きな腕を胸の上でんだまゝ大跨おほまた其辺そこらを歩き廻つてゐたが、いつの間にか姿が見えなくなつた。
和作は大通りの賑かな人道を、夜店の前に立ち止る人を縫ひながら大跨おほまたに歩いた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
導く者はヘクトール、堂々として大跨おほまた
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
自分はその大道を大跨おほまたで濶歩してゐる
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
こいしはばら/\、飛石とびいしのやうにひよい/\と大跨おほまたつたへさうにずつとごたへのあるのが、それでもひとならべたにちがひはない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小橋氏は口のなかで讃美歌をうたひながら、大跨おほまたに町を歩いた。町にはおびたゞしい人が出てゐたが、皆他人らしい顔つきをして南京鼠のやうに忙しさうに走り廻つてゐた。
すると、その途端今一人の士官が元気よく大跨おほまたに繁みのなかから飛び出して来た。手には友達のよかずつと大きな葉つ葉を摘むで、自慢さうにそれを二人にひけらかした。
で、髯旦ひげだんの、どぶりと徳利とくりいてるのを待兼まちかねた、みぎ職人しよくにん大跨おほまたにひよい、とはひると
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此折このをりからした廊下らうか跫音あしおとがして、しづか大跨おほまた歩行あるいたのがせきとしてるからく。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして大跨おほまたに、そのたくましくつ片足かたあしづゝ、やりちがへにあげちやあ歩行あるいてる、くつうらあかいのがぽつかり、ぽつかりとひとツづゝ此方こつちからえるけれど、自分じぶんじやあ、そのつまさきもわかりはしまい。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)