大昔おおむかし)” の例文
実を言うと、僕が最初にして最後の恋をしたのは、六つの頃で、相手は自分の乳母ばあやでしたが、——なにぶんこれは大昔おおむかしのことです。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
むかしむかし大昔おおむかしいまから二千ねんまえのこと、一人ひとり金持かねもちがあって、うつくしい、気立きだてい、おかみさんをってました。
「もう、りかえしのつかない大昔おおむかしのことだ。すくなくも三百ねんは、その時分じぶんからたっていよう……。」と、学者がくしゃは、こたえたのであります。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それを見ると、大昔おおむかし、天地がはじめてできたときに、この世界が浮き油のように浮かんでいたときのありさまが思い出される。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
むかし、むかし、大昔おおむかしかみさまが大ぜいのとりや、むしやけだものをあつめて、てんでんが毎日まいにちべて、いのちをつないでいくものをきめておやりになりました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
思わず、わたしは、永遠の若さで、地上を歩きまわっていたという、大昔おおむかしの神さまたちを、思わずにはいられませんでした。わたしが、そのことを言うと、学生はほほえみました。
「あたし、もう大昔おおむかしからあなたのことばかり考えていましたわ」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
だけれどもこのお城で、大昔おおむかしの古い闇から出て
「いつか、このいけのところでひろって、学校がっこう先生せんせいせたら、大昔おおむかしのものだから、しまっておけとおっしゃいました。」
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、むかし、大昔おおむかしかみさまがいろいろのものをおつくりになったときに、たくさんのはちをおつくりになりました。そのたくさんのはちの中に、蜜蜂みつばちだけがはりっていませんでした。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
大昔おおむかしのことでありました。うみのおばあさんといって、たいそうむずかしやで、すこしのことにもはらてるおそろしいおばあさんがうみなかんでいました。
海のおばあさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
たぶんりゅうぐうへでも行ったのだろうということです。なにしろ大昔おおむかしの話だからね
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その時分じぶん大昔おおむかしのことで、まだこのあたりにはあまりんでいるものもなく、みちひらけていなかったのでありました。家来けらい幾年いくねんとなくそのくにじゅうをさがしてあるきました。
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これはじつにけしからんはなしで、ぜんたいねずみはねこもの大昔おおむかしからかみさまがおきめになったのです。その上ねずみはあのとおりわるさをして、人間にんげんにめいわくをかけるわるいやつです。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)