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のどぼとけ
ふりがな文庫
“
咽喉仏
(
のどぼとけ
)” の例文
旧字:
咽喉佛
と両手に襟を押開けて、
仰様
(
のけざま
)
に
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を示したるを、謙三郎はまたたきもせで、ややしばらく
瞶
(
みつ
)
めたるが、銃剣
一閃
(
いっせん
)
し、
暗
(
やみ
)
を切って
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蒼鸇
(
たか
)
の飛ぶ時よそ
視
(
み
)
はなさず、鶴なら鶴の一点張りに雲をも
穿
(
うが
)
ち風にも
逆
(
むか
)
って目ざす獲物の、
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
把攫
(
ひっつか
)
までは合点せざるものなり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
舌を出したり
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を引っ込めて「あゝ」という気のきかない声を出したり、まぶたをひっくり返されたりするようななんでもない事が
笑い
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
をがくがくさせて何かささやいている、細かくからだを振りながら聞いている平べったい彦根殿の顔が、見るみる
驚愕
(
きょうがく
)
にゆがんだ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が大きく
尖
(
とが
)
って見えた。その
逞
(
たくま
)
しい首を見ていると、耐えていた泪が鼻の裏にしみて、私は遠い時計の方を白々と見るより仕方がなかった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
覚えず
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
がごろごろ鳴る。主人はいよいよ柔かに頭を
撫
(
な
)
でてくれる。人を笑って可愛がられるのはありがたいが、いささか無気味なところもある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから私の手の下で、小さな
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を二三度グルグルと
回
(
ま
)
わして、
唾液
(
つばき
)
をのみ込むと、頬を真赤にしてニコニコ笑いながら、いかにも楽しそうに眼をつむった。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その傷は極めて異様なもので、左の耳の後から
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
の方へ
偃月形
(
みかづきがた
)
に弧を描いて
刎
(
は
)
ねあげられている。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
面
(
つら
)
の真中でも
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
でもお望み通りのところを突いてやる、ちっとやそっと危ねえんじゃねえや
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「娘一人の命が危ねえんだ。手前の
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
などを可愛がっていられるか」
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ジェルテルスキーは、
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を引き下げるようにして低い声で答えた。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私はしばらくその
老人
(
ろうじん
)
の、高い
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
のぎくぎく
動
(
うご
)
くのを、見るともなしに見ていました。何か話し
掛
(
か
)
けたいと思いましたが、どうもあんまり
向
(
むこ
)
うが
寂
(
しず
)
かなので、私は少しきゅうくつにも思いました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
患者の顔には、無力にされた
仇敵
(
きゅうてき
)
を見るときのような満足な表情が浮び、二三度その
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が上下した。彼の眼は、二の腕以下の存在には気づかぬものの如く、ひたすらに肉腫の表面にのみ注がれた。
肉腫
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
柚木の大きい
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
がゆっくり
生唾
(
なまつば
)
を飲むのが感じられた。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
にじり寄ったおさよが、何事か源十郎にささやいたが、その
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が上下に動き終わった時、鈴川源十郎、思わずアッと
驚愕
(
きょうがく
)
した——とたんに!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その上白シャツと
白襟
(
しろえり
)
が離れ離れになって、
仰
(
あお
)
むくと間から
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が見える。第一黒い襟飾りが襟に属しているのか、シャツに属しているのか
判然
(
はんぜん
)
しない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これから、これへ、」と作平は
垢
(
あか
)
じみた細い
皺
(
しわ
)
だらけの
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を
露出
(
むきだ
)
して、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で仕方を見せる。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに比べて、求める心のないうちから
嘴
(
くちばし
)
を引き明けて英語、ドイツ語と
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を押し倒すように詰め込まれる今の学童は実にしあわせなものであり、また考えようではみじめなものでもある。
読書の今昔
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ガラッ八の八五郎は
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
の見えるような
大欠伸
(
おおあくび
)
をしました。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
芳夫は、
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を見せながら、はっはっと笑った。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
右手を屏風にして囲った
口許
(
くちもと
)
を、藤吉の左鬢下へ持って行くと、後は彦兵衛の
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が暫時上下に動くばかり——。
釘抜藤吉捕物覚書:02 梅雨に咲く花
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
人間は自分よりほかに笑えるものが無いように思っているのは間違いである。吾輩が笑うのは鼻の
孔
(
あな
)
を三角にして
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を震動させて笑うのだから人間にはわからぬはずである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗太郎の顔は苦悩に歪んで、
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
が上へ下へと動きます。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分は
這
(
は
)
いながら、
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
の
角
(
かど
)
を
尖
(
とが
)
らすほどに
顎
(
あご
)
を突き出して、初さんの方を見た。すると
一間
(
いっけん
)
ばかり向うに熊の穴見たようなものがあって、その穴から、初さんの顔が——顔らしいものが出ている。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「まるで猿だ」と宗近君は
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を突き出して峰を見上げた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
秋風や
唐紅
(
からくれない
)
の
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
咽
常用漢字
中学
部首:⼝
9画
喉
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
仏
常用漢字
小5
部首:⼈
4画
“咽喉”で始まる語句
咽喉
咽喉笛
咽喉元
咽喉首
咽喉頸
咽喉部
咽喉太
咽喉佛
咽喉輪
咽喉管