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去就
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きょしゅう
ふりがな文庫
“
去就
(
きょしゅう
)” の例文
……で、宮将軍へ付くか足利へ寄るか、とまたもや武士みな
去就
(
きょしゅう
)
の迷いを右往左往にしておりますので、それを
嗤
(
わら
)
ったのかもしれませぬ
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
理詰
(
りづめ
)
で判断はできるが、自分はだいたいの
見地
(
けんち
)
よりこの問題を見る力なく、
取捨
(
しゅしゃ
)
去就
(
きょしゅう
)
に迷うゆえ、いわゆる先輩の判断を
乞
(
こ
)
うというならば
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
あのはげしかった会合のことがらをはっきりと
掴
(
つか
)
めもせずに、自分の
去就
(
きょしゅう
)
についてどうしたら
下手
(
へた
)
をやらずにすむかを考えていたようでした。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
去就
(
きょしゅう
)
不明の十万以上の味方を足手まといにしながら、家康に指を噛ませたという超人間力の出所を、もう一ぺん我々は見直さなければならない。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼が至る所に容れられぬのは、学問の本体に根拠地を構えての上の
去就
(
きょしゅう
)
であるから、彼自身は内に
顧
(
かえり
)
みて
疚
(
やま
)
しいところもなければ、意気地がないとも思いつかぬ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
四十にして家を
成
(
な
)
さず
去就
(
きょしゅう
)
つねならぬ泰軒の乞食ぶりには忠相もあきれて、ただその
端倪
(
たんげい
)
すべからざる動静を、よそながら微笑をもって見守るよりほかはなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
就中
(
なかんずく
)
、周の封建の時代と我が徳川政府封建の時代と、ひとしく封建なれども、その
士人
(
しじん
)
の
出処
(
しゅっしょ
)
を見るに、支那にては道行われざれば去るとてその
去就
(
きょしゅう
)
はなはだ容易なり。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いや、その喜ぶと云う気さえ出なかったほど、先生の
去就
(
きょしゅう
)
には冷淡だったと云えるかも知れない。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ジャックは、魔法の外套を着た通り魔のように、暗黒から暗黒へと
露地横町
(
ろじよこちょう
)
を縫ってその跳躍を
擅
(
ほしいまま
)
にした。彼の
去就
(
きょしゅう
)
の前には、さすがのロンドン警視庁も全然無力の観さえあった。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「とまれ、大物小物といわず、諸方の武士の
去就
(
きょしゅう
)
はいま
一
(
いつ
)
にここの戦況如何にかかっている。名和の兄弟、ひとしお合戦にはげんでくれよ」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「江戸におったり、おらなんだり、
去就
(
きょしゅう
)
風のごとくじゃから、いつ来ていいかわからん」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
院長に聞いて見ると、
嘔気
(
はきけ
)
が来なければ心配するほどの事もあるまいが、それにしてももう少しは食慾が出るはずだと云って、不思議そうに考え込んでいた。自分は
去就
(
きょしゅう
)
に迷った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つい先頃までの彼は、頼朝の召をうけても、
去就
(
きょしゅう
)
に迷っていたのである。が、
今暁
(
こんぎょう
)
ここへ来る時には、もう肚は極まっていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時潮の人間は、大義名分だけでも
去就
(
きょしゅう
)
していない。利害だけで
向背
(
こうはい
)
するとも限ッていない。恩や恨みによってもままうごく。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去就
(
きょしゅう
)
に迷って殲滅の憂き目に会う者や、いち早く、武器を捨て、投降する者や、右往左往一瞬はさながら地獄の底だった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵に
降
(
くだ
)
るも、長政に
殉
(
じゅん
)
じるも、
去就
(
きょしゅう
)
は各〻が選むところで、いたずらに
罵
(
ののし
)
るべきでない。——この戦い、信長にも名分あり、長政にも名分がある。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「およそは、征伐が目的ではない。ただ
邪
(
さまた
)
げを打ち
挫
(
くじ
)
く
分
(
ぶん
)
にて、たたかいの目標は
足
(
た
)
るぞ。——あとは
高
(
こう
)
ノ
師直
(
もろなお
)
よりの執事の令に従って
去就
(
きょしゅう
)
いたせ」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すなわち勝入父子が、
去就
(
きょしゅう
)
一決と同時に、木曾川第一の要地を占領して、秀吉へ
加担
(
かたん
)
の
引出物
(
ひきでもの
)
とした快報であった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このさい
去就
(
きょしゅう
)
を過るな。おれはここに帰っているぞ。一たんはぜひなく直義についた者といえ、前非を知って戻って来るなら、おれはその非を追求しない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういう
測
(
はか
)
り難い明暗と、
去就
(
きょしゅう
)
に迷っている中国へ、秀吉の兵馬は天正五年十月二十三日以降、西へ、西へ。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
去就
(
きょしゅう
)
に、家中を挙げて紛論のかわされた席で、父の藤孝がこういって、
就
(
つ
)
く所を直指したことがある。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去就
(
きょしゅう
)
にまよい、四囲の重圧にあえいでいた盟国の土民は、
篝
(
かがり
)
を
焚
(
た
)
き、
歓呼
(
かんこ
)
して、秀吉の兵馬をむかえた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、この日をもって、多少城内にもあった
去就
(
きょしゅう
)
静観組の空気も一掃されてしまい、黒田ノ城だけは、信雄、家康へ二心なきものと、明朗な態度を示すに至った。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
梅雨
(
つゆ
)
はとうに明けているはずだが、いっこう空気は乾燥しない。そして空にはのべつという程、この頃の天下を象徴しているような
去就
(
きょしゅう
)
の定まらない雲が往来していた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
順慶坊主め、口の先では、程よく申しおって、いっこう
去就
(
きょしゅう
)
を示さなんだが、帰途、探り得たところでは、彼からも秀吉からも、頻りと使者の取り
交
(
か
)
わしがあったようだ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それはすぐ在京武者に弱味をおもわせ、いたずらに
去就
(
きょしゅう
)
を迷わせる悪結果をよぶ」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、この先の政治的な変動やら一身の
去就
(
きょしゅう
)
に、
暗澹
(
あんたん
)
たる動揺がかくしきれなかった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、
下手
(
へた
)
をすれば、山を降りても、半兵衛重治の
去就
(
きょしゅう
)
は、いずれへつくか不明と見るのが穏当である。織田家でなくて、かえって斎藤家の陣門へ追い込んでしまうかもしれないのだ。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
過日はまだ、われらの
去就
(
きょしゅう
)
も定まらぬうちゆえ、後の推移次第で、利用の道もある人間とおもい、牢へ投げこんでおけいと命じおいたのだが……両三日の忙しさに、つい失念しておった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去就
(
きょしゅう
)
に迷うのもむりはない。野望を
過
(
あやま
)
って身を亡ぼす者が
簇出
(
ぞくしゅつ
)
する理由もある。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ましてこの大蔵の
去就
(
きょしゅう
)
などに目もくれてはいない。また千早には、大将から兵のはしまで、出世を考えているようなのは、ただのひとりもいねえンだよ。そんな
娑婆
(
しゃば
)
ッ
気
(
け
)
で居たたまれる城じゃあない。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曹操も、この二大方向の
去就
(
きょしゅう
)
に、迷っていたところだった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身の
去就
(
きょしゅう
)
さえ、こうなってからの、うろたえだった。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去
常用漢字
小3
部首:⼛
5画
就
常用漢字
小6
部首:⼪
12画
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去
去年
去来
去歳
去迚
去嫌
去程
去々年
去勢牛
去來