はじま)” の例文
得て「関係して居ぬとは云えますまい、第一彼が叔父へ密書を送ったと仰有ったではありませんか、夫が此の事件のはじまりでしょう」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
やがて親戚や近所の人達が、あつまって来て、彼地あちらでいう夜伽よとぎ東京とうきょうでいえば通夜つやであるが、それがある晩のことはじまった。
子供の霊 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
そろそろ学校のはじまる九月になりました。おねこさんとおくろさんは学校が大へん好きですから、学校が初るのが待ち遠しくて、夜もなか/\ねむれない位でした。
お猫さん (新字旧仮名) / 村山籌子古川アヤ(著)
に毒じゃない」そう云って彼は老翁の方を向いた。南京豆にはじまった私との会話は南京豆で終いになった。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
玄道先生唯今御入来相成候、依而よつて雅兄早〻御出(くだされ)ず候てハ、天下のママはじまりかね申候。
世の中に出られたならば、この艱難ということのはじまりである、また既に初まッておる方もありましょう。
人格の養成 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
せがれもまだ書生あがりで小児こどもも同然だから、私も平生ふだんから厳しく監督していますが、冬子さんとの婚礼は昨日今日にはじまった話でも無し、たとい一月ひとつき二月ふたつき延びたからと云って
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
丙「幇間は口が悪いもんですから屁放へっぴり侍と云ったので、侍があとへ帰って来て、何だ出もの腫れものだ、したら何うした、屁放り侍とは何だと斯ういうのが喧嘩のはじまりで」
自分は各國の名家の演奏も幾度いくたびとなく聽いた上に、久しい間練習しては居るが、はじまりの進行曲だけはうやら無難に行きながら、いざ最後によるとなつて秋の木の葉が墳墓に散りかゝる處になると
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
こと實際じつさい矢張やはりこんなふうはじまるのだからいたかたがない。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
見物かた/″\根津へ往って引張ひっぱられてあがったのが縁さねえ、処が此奴こいつ中々手管てくだが有って帰さないから、とうとうそれがお前さん道楽のはじまりでひどいめに遭いましたけれども
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
喜「へえ、誠に有難ありがてえことで、はじまりは心配して居りました、し貴方に怪我でもあらば仕様がねえから飛出そうと思ってやしたが、此の通りおっぬまで威張りアがって野郎」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嘉「いえなにわしが処へお出でなすった事も何もない、私は御懇意にもなんにもしませんが、婆が商いに出ました先でお目にかゝったのがはじまり、それから頼まれましたんで、のうおっかあ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はじまりはかたきとうと思いましたけれども、誰が敵だか分らぬじゃアありませんか、善々よく/\考えて見ますと、富五郎を押えて白状さして、愈々いよ/\一角が殺したと決ったら討とうというのだが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お客に烟草をつけて遣るなどということは余程よっぽど馴染にならなければ出来ませんが、はじまりから伊之助の足袋の洗濯までもしようと云う真実ゆえ、伊之助もにくからず思い、足を近く来ますので