切手きつて)” の例文
其所そこかなかつた宗助そうすけは、まち角迄かどまでて、切手きつてと「敷島しきしま」をおなみせつて、郵便丈いうびんだけはすぐしたが、そのあしまたおなみちもどるのがなんだか不足ふそくだつたので
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まいつゞきにしたつて封書ふうしよおなことで三せんだ。たまに三まいつゞきにすることもあるが、状袋じやうぶくろれたり、切手きつてつたりする面倒めんだうがないだけでも、一せんりん値打ねうちはあるからな。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
越前守殿ははやくも見てられ何ぢや多兵衞云へぬか云へまい其寺は淺草阿部川町あべかはちやう了源寺れうげんじであらうコリヤ多兵衞先達て了源寺の所化しよけと爲り燒場やきば切手きつて持參ぢさんなし島の死骸しがいを千住の燒場光明院へ持込もちこみ棺桶くわんをけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれこの手紙てがみ切手きつてつて、ポストにれなければならない口實こうじつもとめて、早速さつそくやまくだつた。さうして父母ふぼ未生みしやう以前いぜんと、御米およねと、安井やすゐに、おびやかされながら、むらなかをうろついてかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小六ころくにしてゐた佐伯さへきからは、豫期よきとほり二三にちして返事へんじがあつたが、それはきはめて簡單かんたんなもので、端書はがきでもようりるところを、鄭重ていちよう封筒ふうとうれて三せん切手きつてつた、叔母をば自筆じひつぎなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)