とも)” の例文
蛙でさえも水田に鳴き、ともを求める時であった。梅の実の熟する時、鵜飼うかいの鵜さえがう時、「お手討ちの夫婦なりしを衣更ころもがえ」
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
我はエレットラとその多くのともをみき、その中に我はエットル、エーネア、物具ものゝぐ身につけまなこ鷹の如きチェーザレを認めぬ 一二一—一二三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この教信は好事こうずの癖ある風流人であったから、椿岳と意気投合して隔てぬ中の友となり、日夕往来して数寄すきの遊びをともにした。
こっちも飽きが出て何しに躍り来たか見定めなんだが、上述の蝮を殺した実験もあり、また昔無人島などで鳥獣を殺すとそのともの鳥獣がおそかくれず
おゝ、うれしや、かへってた。……なう乳母うばいの、如何どうぞいの? あのかたやったかや?……とも彼方あちへ。
森の上に一つの声が渡った、夢のようにあたたかく、胸のように白く、風もない光明あかるみのひろ場を横ぎって涼しいみどりの蔭から蔭へと、山鳩がともよぶ声であった。
(新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
其れがめすでゞもあったか、翌日他の一疋がのろ/\とそのともを探がしに来た。一つって、ふりかえる処をつゞけざまに五六つたゝいて打殺した。殺してしもうて、つまらぬ殺生をしたと思うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
眺め此丘一つ我物ならばこゝに讀書のしつを築き松風蘿月しようふうらげつともとして澄し込んものと又しても出來ぬ相談を始め勝地に到れば住んことを望み佳景にあへば一句してやらんと思ふ此等みな酒屋の前によだれ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
サルペードーン、ともとして、*アステロパイオス、グローコス
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
九霄きうせうまさともを得たるなるべし
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼我を責めて曰ひけるは、汝何ぞ穢れし我ともを措きて我をのみかく貪り見るや、我彼に、他に非ずわが記憶に誤りなくば 一一八—一二〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「それよりサッサとあしへ帰り、えび泥鰌どじょうでもせせるがいいや。うん、その前に烏啼き、ともよぶ声でも聞かせてやろう」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
沼南が大隈おおくま参議と進退をともにし、今の次官よりも重く見られた文部ごん大書記官の栄位を弊履の如く一蹴いっしゅうして野に下り
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ふかい静寂が森にあった、ただ蚊吸鳥かすいどりが松の枝からひくく身をのり出してともをよぶあやしい物あわれな声がした、ともの鳥はその声に胸をふくらませて、露ふかい蔭に飛び隠れることを考えた。
(新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
されど何故に汝のともき汝ひとりあらかじめ選ばれてこのつとめを爲すにいたれるや、これわが悟りがたしとする所なり。 七六—七八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
いつもひとりで寂しそうに、こそこそと忍び歩くこの鳥は、心に充たされない何物かがあって、それを求めてともと離れて、探し廻っているかのようであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
沼南と仕事をともにした提携者や門下生的関係ある昵近じっきん者さえが「復たユックリ来給え」で碌々ろくろく用談も済まないうちに撃退されてブツクサいうのは珍らしくなかった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
身かの如く肥ゆとみえ、かつかの鼻の雄々しきともふしをあはせて歌ふ者はその腰に萬の徳の紐を纏ひき 一一二—一一四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「そっちがやかましい烏なら、こっちは清々すがすがしい鷺の音さ! 驚いてはいけない、とも呼んで見せる」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、紅葉は早くも孤立の力なきを知って、初めから百名以上の応援隊を率いて起ち、固く結束して団体的に文壇を開拓し、進退行蔵こうぞうすべともにして自家の勢力を扶植した。
我自ら種を蒔きて今かゝる藁を刈る、あゝ人類よ、ともを除かざるをえざるところに何ぞ汝等の心を寄するや 八五—八七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
事業家としてドレほどの手腕があったかは疑問であるが、事をともにした人の憶出おもいでを綜合して見ると相当の策もあり腕もあったらしく、万更まんざらな講釈屋ばかりでもなかったようだ。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そうして塔上のともを呼んだ。ウオーッ、ウオーッと侶を呼んだ。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いと高き處に坐し、その責務つとめを怠りしごとくみえ、かつともの歌にあはせて口を動かすことをせざる者は 九一—九三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
今村清之助いまむらせいのすけは常に紅葉の作を愛読していたが、感服の余りに一夜旗亭きていに紅葉を招いて半夜の清興をともにしたそうだ。西園寺さいおんじ公も誰のよりも紅葉の作を一番多く読んでおられるようだ。
そこで彼はともを呼んだ。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大いなる口を露はし、ともに曰ひけるは、汝等見たりや、かのあとなる者觸るればすなはち物の動くを 七九—八一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その上に固く結束して互に相援引し、応援するにも敵対するにも一斉にって進退緩急の行動をともにした。歩武の整然として訓練のく行届いたは有繋さすがに紅葉の統率の才の尋常でなかった事が解る。
鳩そのともかたへに飛びくだるとき、かれもこれも𢌞めぐりつゝさゝやきつゝ、かたみに愛をあらはすごとく 一九—二一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
自分の物だからといって多年辛苦をともにした社員をスッポかして
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)