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てんまちょう
ふりがな文庫
“
伝馬町
(
てんまちょう
)” の例文
旧字:
傳馬町
ことのついでにいってしまえば、もと西巻は、日本橋の
石町
(
こくちょう
)
、
銀町
(
しろがねちょう
)
、
伝馬町
(
てんまちょう
)
……その界隈を担いであるくぼてふりの
肴
(
さかな
)
やだった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「——いまのお差配の
仰
(
おっ
)
しゃったことを覚えておけよ、りゅう、ここは
伝馬町
(
てんまちょう
)
よりおっかねえところらしいからな、おとなしくしようぜ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どうも、大変な話じゃありませんか。それから組頭が
捕
(
つか
)
まえられると同時に
家捜
(
やさが
)
しをされて、当人はそのまま
伝馬町
(
てんまちょう
)
に
入牢
(
にゅうろう
)
さ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
幕府の末期までこの辺に
伝馬町
(
てんまちょう
)
の
大牢
(
おおろう
)
とともに
芳原
(
よしわら
)
があったので、芳町といい大門通りというのも、それに
因
(
ちな
)
んだものだと言われていたが
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
やっぱり船頭で、大島
町
(
ちょう
)
の石置場の傍にいる寅吉という奴です。船頭といっても、博奕が半商売で、一つ間違えば
伝馬町
(
てんまちょう
)
へくらい込むような奴で……。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
当村はその時分
小普請組
(
こぶしんぐみ
)
御支配
綱島右京様
(
つなじまうきょうさま
)
御領分にて有之候間、寺男慶蔵は
伝馬町
(
てんまちょう
)
御牢屋
(
おろうや
)
へ送られ、北の
御奉行所
(
ごぶぎょうしょ
)
御掛
(
おかか
)
りにて、厳しく
御吟味
(
ごぎんみ
)
に相なり候処
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今から四十年前に小説復刻の元祖たる南
伝馬町
(
てんまちょう
)
の
稗史
(
はいし
)
出版社に続いて馬琴の『
俊寛僧都
(
しゅんかんそうず
)
島物語』や
風来
(
ふうらい
)
の『六々部集』を覆刻したので読書界に知られた印刷所であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
……番代りの
晦日
(
みそか
)
に
伝馬町
(
てんまちょう
)
の
堺屋
(
さかいや
)
へ検死に行ったのはどいつだ。……嘉兵衛と鶴吉を
虎列剌
(
ころり
)
と
判定
(
きめつけ
)
てうっそり帰って来たのは、いってえどいつだ。言え、この中にいるだろう
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
お松がここで行けと言われている家は、四谷の
伝馬町
(
てんまちょう
)
の神尾という三千石の
旗本
(
はたもと
)
であります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのとき死骸の
側
(
そば
)
に、
伝馬町
(
てんまちょう
)
の万次という野郎がウロウロしていたというんだ、——男っ
振
(
ぷ
)
りは
好
(
い
)
いが、一向他愛のない安やくざだよ。その場から煙のように消えてしまったのだ。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
搏
(
う
)
つわ、飲むわ——
博徒
(
ばくと
)
の仲間にはいって、人殺し兇状を重ね、とうとうほんものの泥棒
渡世
(
とせい
)
をかせいで、
伝馬町
(
てんまちょう
)
の大牢でも顔を売り、
遂
(
つい
)
に、
三宅島
(
みやけじま
)
に送られ、そこを破ってからは
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
普通ならば
伝馬町
(
てんまちょう
)
ものだが、表だたば北村大学殿が家門断絶に会わねばならぬ。
右門捕物帖:18 明月一夜騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
直樹の父親の
旦那
(
だんな
)
は、
伝馬町
(
てんまちょう
)
の「大将」と言って、
紺暖簾
(
こんのれん
)
の影で
采配
(
さいはい
)
を振るような人であったが、その「大将」が自然と実の旦那でもあった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこで今、
伝馬町
(
てんまちょう
)
の薬屋で
瘡毒
(
そうどく
)
一切
(
いっさい
)
の
妙薬
(
みょうやく
)
といふ
赤膏薬
(
あかこうやく
)
を買つて来たのだが、そこで直ぐに貼つてしまへば
好
(
い
)
いのに、極まりを悪がつて
其儘
(
そのまま
)
に持つてゐるのだ。
赤膏薬
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
伝馬町
(
てんまちょう
)
すじの裏に長屋の一軒を借りると、その家ぬしの世話で、さしたる苦労もなく城下はずれの
畷道
(
なわてみち
)
に、小坂井でしていたのとおなじ小あきないの店をもつ事ができた。
日本婦道記:箭竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
用意の駕籠へのせると、黙々として川一つ越えた
伝馬町
(
てんまちょう
)
の
不審牢
(
ふしんろう
)
へ伴いました。
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
囚人を
伝馬町
(
てんまちょう
)
の牢からひきだして駕籠に乗せ、南と北の与力と同心がおのおの二人ずつ八人がつきそって
御浜
(
おはま
)
か
永代橋
(
えいたいばし
)
、さもなければ
蠣店
(
かきだな
)
か
新堀
(
しんぼり
)
、そのどこかの河岸まで持って行きますと
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして日本橋
伝馬町
(
てんまちょう
)
の
鰹節
(
かつおぶし
)
問屋に生れた岡見は成功した。この事実は彼の若い心に深い感銘を刻みつけた。愛の
為
(
な
)
すなきを悟ったのは実にその時であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
長三郎はすぐ
伝馬町
(
てんまちょう
)
へ送られた。七兵衛は今度の事件に関係のある岩蔵、民次郎、寅七の三人を呼んで、本所の木賃宿に泊っている甲州の猟師を召捕れと云いつけた。
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
伝七は五十五、六、倉太は四十七、八、才次は二十八、九だろう、三人とも本職の土方あがりであり、ともに
伝馬町
(
てんまちょう
)
の大牢にいた、ということを誇りにしているようであった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「小鰭の鮨売を四十人……
伝馬町
(
てんまちょう
)
の牢屋敷で鮨屋でもはじめますか」
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大番屋
(
おおばんや
)
へ送られて三人は更に役人の吟味を受けた後に、新次郎は重罪であるからすぐに
伝馬町
(
てんまちょう
)
の牢屋へ送られた。お直は
宿許
(
やどもと
)
へあずけられ、宇吉は主人方へ預けられた。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その一方は
駿河台
(
するがだい
)
へ延びて
神田
(
かんだ
)
を焼きさ、
伝馬町
(
てんまちょう
)
から
小舟町
(
こぶなちょう
)
、
堀留
(
ほりどめ
)
、
小網町
(
こあみちょう
)
、またこっちのやつは大川を
本所
(
ほんじょ
)
に飛んで
回向院
(
えこういん
)
あたりから
深川
(
ふかがわ
)
永代橋
(
えいたいばし
)
まできれえにいかれちゃった
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
岡見が
伝馬町
(
てんまちょう
)
の自宅の方から雑誌社の
隣家
(
となり
)
に来て寝泊りするほど熱心に今では麹町の学校の
事業
(
しごと
)
を助けていること、その岡見が別に小さな雑誌をも出していること、岡見に好い弟があり妹があること
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やはり四谷通りの
伝馬町
(
てんまちょう
)
に
会津屋
(
あいづや
)
という刀屋の店を出していましたので、わたくしの家とは近所でもあり、かたがたしてわたくしの家の後見というようなことになっていました。
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これもそれと
似寄
(
により
)
の話で、やはり十七年の秋と思う。わたしが父と
一所
(
いっしよ
)
に四谷へ
納涼
(
すずみ
)
ながら散歩にゆくと、秋の初めの涼しい夜で、四谷
伝馬町
(
てんまちょう
)
の通りには幾軒の
露店
(
よみせ
)
が出ていた。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その起こりは安政元年四月二十三日、夜の五ツ(午後八時)少し前の出来事で、日本橋
伝馬町
(
てんまちょう
)
の牢内で
科人
(
とがにん
)
同士が喧嘩をはじめて、大きい声で呶鳴るやら、殴り合いをするやら大騒ぎ。
半七捕物帳:64 廻り灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
伝馬町
(
てんまちょう
)
の大通りへ出て、ふと見ますと、会津屋の前には大勢の人立ちがしているので、何とはなしにはっとして、急いで店先へ駈けて行きますと、そこには一挺の駕籠がおろしてありまして
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いえ。今度
伝馬町
(
てんまちょう
)
へ行けば仕舞い湯だ。てめえ達のような下っ引にあげられて堪まるものか。もち竿で孔雀を差そうとすると、ちっとばかり
的
(
あて
)
がちがうぞ。おれを縛りたけりゃあ立派に十手と捕り縄を
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“伝馬町”の解説
伝馬町(てんまちょう)とは、江戸時代の城下町に置かれた町。伝馬役と呼ばれる領主(幕府・藩)のための伝馬およびそれに関連した夫役を負担していた。
今日でも「伝馬町」と称される地名が日本各地に残されている。
(出典:Wikipedia)
伝
常用漢字
小4
部首:⼈
6画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
町
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
“伝馬町”で始まる語句
伝馬町屋
伝馬町通