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たとひ
ふりがな文庫
“
仮令
(
たとひ
)” の例文
旧字:
假令
懺悔の形式を以て一種の告白小説の現れたのは、室町時代がはじめで、それ以前は
仮令
(
たとひ
)
あつたにしても、無意識で行つてゐたのである。
お伽草子の一考察
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
仮令
(
たとひ
)
我輩が瀬川先生を救ひたいと思つて、
単独
(
ひとり
)
で
焦心
(
あせ
)
つて見たところで、町の方で聞いて呉れなければ仕方が無いぢや有ませんか。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
仮令
(
たとひ
)
世間にては何と申し候とも、妻が貞操を守り居たりしことは小生の確信する所に有之、小生は死を以て之を証明する考に候。
アンドレアス・タアマイエルが遺書
(新字旧仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
若し此事真実に候はゞ、辞安
仮令
(
たとひ
)
学問に
長
(
た
)
け候とも、其心術は憎むべき
極
(
きはみ
)
に
可有之
(
これあるべく
)
候。何卒詳細御調査之上、直筆
無諱
(
いむことなく
)
御発表相成度奉存候。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
此段
御承引
(
ごしよういん
)
無之
(
これなき
)
に於ては、
仮令
(
たとひ
)
、医は仁術なりと申し候へども、神仏の
冥罰
(
みやうばつ
)
も恐しく候へば、検脈の儀
平
(
ひら
)
に御断り申候。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
而して之を中央に伝達する地方官吏にして、彼等人民を誤解し居るに至ては、中央当局者
仮令
(
たとひ
)
賢明なりと雖も、豈に其の実情を知ることを得んや。
鉱毒飛沫
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
仮令
(
たとひ
)
どんな事があらうとも、
女
(
をんな
)
は
其
(
そ
)
の
嫁
(
か
)
した
家
(
いへ
)
を
本当
(
ほんたう
)
の
家
(
いへ
)
としなければならぬと
云
(
い
)
ふことを
云
(
い
)
ひ聞かして
帰
(
かへ
)
されたから
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仮令
(
たとひ
)
どんな海の穏かなときでも、渦巻に近寄らないやうにといふ用心だけは、少しも怠つたことはございません。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
○そこで
仮令
(
たとひ
)
美酒蘭燈の間にゐて歌舞歓楽に一時の自分を慰めてゐても、何処かにこれを是認せぬものがある。つまり心が一つでなくて、二つになつてゐる。
日本大地震
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
仮令
(
たとひ
)
此状に不審ありとも一向宗の輩は和泉守に力を合せ兄淡路守を
逐
(
お
)
ひ侍りしこと隠れもなし、されば檜垣の衆とても
必定
(
ひつぢやう
)
敵
(
かたき
)
にて侍るものを早や/\
誅戮
(
ちうりく
)
を加へて
賜
(
た
)
べとて
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
読書から帰納して得て来たものと、血肉からぢかに絞り出して得て来たものとでは、
仮令
(
たとひ
)
その内容は同じであつても、全然違ふものであることを我々は考へなければならない。
墓の上に墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
仮令
(
たとひ
)
良人に
恕
(
ゆる
)
し難き大失策があつても、基督の精神を以て其の罪を
恕
(
ゆる
)
す、と夫人の理想はまア出たいのであるが、
一
(
ひ
)
ト
抱
(
かゝへ
)
あれど柳は柳哉、
幾程
(
いくら
)
基督の精神を持つてゐる令夫人でも
未亡人と人道問題
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
仮令
(
たとひ
)
此方
(
こなた
)
にては知らぬ顔してあるべきも、
争
(
いか
)
でかの人の見付けて驚かざらん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
僕の知つた男にね、細君が
厭
(
いや
)
になつて離縁を請求したものがある。所が細君が承知をしないで、
私
(
わたくし
)
は縁あつて、
此家
(
このうち
)
へ
方付
(
かたづ
)
いたものですから、
仮令
(
たとひ
)
あなたが
御厭
(
おいや
)
でも
私
(
わたくし
)
は決して出て
参
(
まい
)
りません
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯
(
こ
)
の
光景
(
ありさま
)
を眺めて居た丑松は、
可憐
(
あはれ
)
な小作人の
境涯
(
きやうがい
)
を思ひやつて——
仮令
(
たとひ
)
音作が正直な百姓
気質
(
かたぎ
)
から、いつまでも昔の恩義を忘れないで
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私
(
わし
)
も篠田と云ふ奴を二三度見たことがありますが、顔色容体
全然
(
まるで
)
壮士ぢや
御
(
お
)
ワせんか、
仮令
(
たとひ
)
山木の娘が
物数寄
(
ものずき
)
でも、
彼様男
(
あんなもの
)
へ
嫁
(
ゆか
)
うとは言ひませんよ、よし
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
かの本地垂迹説を単に
山家
(
サンケ
)
・
南山
(
ナンザン
)
の両大師あたりの政略であつた様に言ふ歴史家の見解は、
仮令
(
たとひ
)
結果が一に帰するにしても、心理的根拠から、我々の頗る不服とするところであつて
髯籠の話
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
仮令
(
たとひ
)
最も大きい戦闘艦でも、この恐ろしい引力の範囲内に這入つた以上は、丁度一片の鳥の羽が
暴風
(
あらし
)
に吹きまくられるやうに、少しの抗抵をもすることなしに底へ引き入れられてしまつて
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
其秘密を
蔵
(
かく
)
して居る以上は、
仮令
(
たとひ
)
口の酸くなるほど他の事を話したところで、自分の真情が先輩の胸に
徹
(
こた
)
へる時は無いのである。無理もない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
兼吉さんと米ちやんとのお話を承はつてる中に、私の心が妙な風に成つて来ましてネ、
仮令
(
たとひ
)
女性
(
をんな
)
の
節操
(
みさを
)
を
涜
(
けが
)
したものでも、其が自分の心から出たのでないならば
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
島の木立ちに、
仮令
(
たとひ
)
忘れた様にでも、桜の花がまじり咲いた。
若水の話
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「
仮令
(
たとひ
)
方寸に在らうが、国家の公事ぢや、君等は一家の私事さへもグツ/\して居るぢや無いか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
“仮令”の意味
《形容動詞》
かりに、よしんば。
(出典:Wiktionary)
仮
常用漢字
小5
部首:⼈
6画
令
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“仮”で始まる語句
仮
仮面
仮借
仮名
仮初
仮髪
仮声
仮病
仮睡
仮寝