丸薬がんやく)” の例文
旧字:丸藥
「おいおい、子供の欲しい御婦人なら鹿宝ろくほうがいいだろう……これは四川しせんから来たんで、鹿の胎子はらご丸薬がんやくにしたもので御座いますがね」
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
さっそくうちけてかえって、いつか薬売くすりうりからもらいました丸薬がんやくってきて、それをにかかっているわしにのませてやりました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
一寸ちょっと紙入かみいれの中にもお丸薬がんやく散薬こぐすりでも這入はいっていますが、此の志丈の紙入の中には手品の種や百眼ひゃくまなこなどが入れてある位なものでございます。
われわれを健康に明朗に満ち足りてたもつ丸薬がんやくは何であろうか? わたしの、あるいはあなたの曾祖父ひじいさんのそれではなくて
やがて、主人は手文庫の中から、畳紙たとうに包んだ錦の袋を出し、その中を探って、薄黒い梅干ほどの丸薬がんやくを取出しました。
接伴せっぱん委員長のカーボンきょうは、金博士が、あまりにも空爆下くうばくかに無神経でありすぎるのにおどろき、周章あわてて持薬じやくのジキタリスの丸薬がんやくをおのが口中こうちゅうに放りこむと
苦痛くつううすらげるのはなんためか? 苦痛くつうひと完全かんぜんむかわしむるものとうではいか、また人類じんるいはたして丸薬がんやくや、水薬すいやくで、その苦痛くつううすらぐものなら、宗教しゅうきょう
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一番無雑作むぞうさでかつおかしいと思ったのは、何ぞと云うと、手のあか鼻糞はなくそを丸めて丸薬がんやくを作って、それを人にやる道楽のある仙人であったが、今ではその名を忘れてしまった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は医者でないが丸薬がんやくを丸めるぐらいの事はきっと出来るから、何卒どうか世話をしてもらいたいと云うと、岡部も私の身の有様を気の毒に思うたか、私と一緒になって腹を立てゝ容易たやすく私の云う事を請合うけあ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「そのとおり。おめえだって、丸薬がんやくを飲まされるだろう」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
と、薬売くすりうりはいって、黄色きいろふくろなかから、ちいさな紙包かみづつみになった丸薬がんやくして、太郎たろうあたえたのであります。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
かの雷洋丸が爆沈したのも、実をいえば、わずか丸薬がんやくほどの大きさのBB火薬が、第一船艙のある貨物の中に仕かけられていて、それが爆破したためであった。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
で、ハバトフは訪問ほうもんをするたびに、きっとブローミウム加里カリはいったびんと、大黄だいおう丸薬がんやくとをってる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
オルガ姫は、私の前にいたが、鞄の中から、丸薬がんやく入りの缶を出して、私のてのひらに、三つの黒い丸薬をのせた。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
太郎たろうは、薬売くすりうりのくれた丸薬がんやくを、大事だいじにしてしまっておきました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いやあれは鳥渡ちょっと……僕の持薬じやくである丸薬がんやくを落したから、拾い集めて居ただけなんです」と答えたが、その答えぶりから言ってそれは明らかにいつわりであることが判った。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)