両腕りょううで)” の例文
旧字:兩腕
仕立屋したてやさんはひらりととびおりて、両腕りょううでで木をかかえました。こうして、いままでずっとかかえていたような顔をして、大男にむかって
そこですぐさま、おばあさんのところへ歩いていって、この子を受けとってくれというように、両腕りょううでを高くさしあげました。
それから、立ちあがって背のびをしたり、両腕りょううでをふりまわしたりしたあと、一人でぶらぶらと赤松あかまつの林のほうに歩きだした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
わたくしはうれしいやら、かなしいやら、夢中むちゅうであの両腕りょううでにひしとだきかかえたのでございます……。が、それまでがわたくしうれしさの絶頂ぜっちょうでございました。
小さな娘さんは、両腕りょううでをぐっと高くのばしていました。つまり、この娘さんは、おどだったのです。かたほうの足も、ずいぶん高くあげていました。
燈台看守とうだいかんしゅはやっと両腕りょううでがあいたので、こんどは自分で一つずつねむっている姉弟きょうだいひざにそっときました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
呂宋兵衛るそんべえ武士さむらいだまりの者へ、チラとめくばせをすると、バラバラと立ちあがったふたりのあらくれ武士が、いきなりムンズと竹童ちくどうの左右から両腕りょううでをねじ押さえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これはだめだ。とてもおれにはけない。」と、あに両腕りょううでいたむのをさすりながら、いいました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
両腕りょううでを上下につき出して、顔を低くして、一生けんめいに、ぼくの小指を、にらんでる。そのまま身うごきもしない。こうなると、ぼくは急に愉快になってきた。ふいに
小指一本の大試合 (新字新仮名) / 山中峯太郎(著)
そうして、がめぐりだすように、死人の両腕りょううでをこすってやりました。しかし、それでも、なんのききめもなさそうです。そのとき、ふと
ニールスが両腕りょううでにいっぱいれ草をかかえてきますと、ガチョウは、くちばしでニールスのシャツのえりをくわえて持ちあげ、こおりの上に飛んでいきました。
燈台看守はやっと両腕りょううでがあいたのでこんどは自分で一つずつ睡っている姉弟の膝にそっと置きました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
両腕りょううでには、こうもりがさを一本ずつ、かかえています。一本のかさには、絵がかいてあります。
おはるは、安心あんしんしました。そして、さっきのおとこひとをみると、むこうのベンチにもどって、ゆうべからこうしてじっとしているらしく、両腕りょううでをくんでうつむいているのでした。
朝の公園 (新字新仮名) / 小川未明(著)
頬骨ほおぼねの高い、まゆい、いくらか南洋の血がまじっていそうな顔だちの、二十四五さいの青年が、ひざ両腕りょううでっぱり、気味のわるいほど眼をすえて、朝倉先生を見つめている。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
両腕りょううでを緑のえだのあいだからのばして、いかにも悲しそうなようすをしていましたもの。そうだわ、これがママのよくおっしゃる世の中の災難てものなんだわ。ああ、かわいそうなお人形!
いぬがくわえてきたのをはらって、らえてきたのだよ、どこにもきずがついていないようだ。」と、子供こどもは、あひるを大事だいじそうに両腕りょううであいだれて、いつまでもはなそうとはしませんでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
島のいちばん高いところにひとりの巨人きょじんが立って、じぶんと島とにふりかかってくるおそろしいわざわいに絶望ぜつぼうしてでもいるように、両腕りょううでを高くあげているのが、はっきりと見えたからです。
見ると荒田老は両腕りょううでを深く組み、その上にあごをうずめて、居眠いねむりでもしているかのような格好かっこうをしていた。ほかの人たちの中にも、頭を椅子いすの背にもたせて眼をつぶっているものが二三人あった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
お妃さまは赤ちゃんを両腕りょううでにだきあげて、おちちをのませました。
大将両腕りょううでを上げ整枝法のピラミッド形をつくる。
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
つづいて上半身が現われて、両腕りょううでを煙突のふちにかけました。