下葉したば)” の例文
ときはもうつぼみはどうしてものいふこといてうがかないので、あついさうして乾燥かんさうはげしいがそれをにくんでこは下葉したばをがさ/\にらした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夏の晴夜は、けるにしたがって露がしげって、下葉したばに溜まった水粒が、ポタリ! 草を打つ音が聞こえる——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
蓮華れんげつゝじは下葉したばから色づき、梅桜は大抵落葉し、ドウダン先ず紅に照り初め、落霜紅うめもどきは赤く、木瓜ぼけは黄に、松はます/\緑に、山茶花さざんかは香を、コスモスは色を庭に満たして
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
実家さとよりも、飯田町いいだまち伯母おばよりすらも、はがき一枚来ぬことの何となく気にかかり、今しも日ながの手すさびに山百合を生くとて下葉したばはさみおれる浪子は、水さし持ちて入り来たりしうばのいくに
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
まだ黄色きいろ下葉したば裏葉うらば、あれも程なく枯れるであらう。ああ、秋もふけたと見てゐるうちに、もう褪せかけて、風もないのにはらはらと散る紅葉もある。それも寂しい私達には恰度程よい寂しさだ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青菜あをな下葉したばはもうよく/\黄色きいろれてた。おしな二人ふたり薄暗うすぐらくなつたいへにぼつさりしててもはたけ收穫しうくわく思案しあんしてさびしい不足ふそくかんじはしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
こゝろもとなげなくも簇々むら/\みなみからはしつて、そのたびごと驟雨しううをざあとなゝめそゝぐ。あめはたかわいたつちにまぶれて、やが飛沫しぶき作物さくもつ下葉したばつて、さら濁水だくすゐしろあわせつゝひくきをもとめてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)