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万遍
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まんべん
ふりがな文庫
“
万遍
(
まんべん
)” の例文
旧字:
萬遍
旅行中のいろんな役割は
万遍
(
まんべん
)
なく塾生全部にふりわけられていた。出発から帰塾まで、全く役割なしですませる塾生は一人もなかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
道や空一面に濃く靄がかゝり、それに午前の陽が
万遍
(
まんべん
)
なく映じて、色つきのジェリーの中を歩いて行くような感じの日でした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
始めてこの下宿へ来た野村は、
万遍
(
まんべん
)
なく部屋の中を見廻してから、俊助の指さす安楽椅子へ、どっかり大きな尻を据えた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かつ隅から隅まで
万遍
(
まんべん
)
なく行渡った編輯上の努力の跡が
歴々
(
ありあり
)
として、一座の総帥たる貫録が自ずから現われていた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お文は銀場から、その鋭い眼で入り代り立ち代る客を送り迎へして、男女二十八人の雇人を
万遍
(
まんべん
)
なく立ち働かせるやうに、心を一杯に張り切つてゐた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
しかも
是公
(
ぜこう
)
は是非共
万遍
(
まんべん
)
なくよく観て行かなくっちゃいけないよと命令的に注意するんだから、容易じゃない。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところで一方甚内は、武芸を習う余暇をもって、江戸市中を
万遍
(
まんべん
)
なくあるき、目差す
敵
(
かたき
)
を探すことにした。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
婆やはそこにいる四人に
万遍
(
まんべん
)
なく聞き取らせようとするので容易でなかった。肥った身体を通りすがりの人にこづかれながら、手真似をまじえて大きな声になった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
僕は性来
臆病
(
おくびょう
)
なるゆえ、僕自身の為すことにおいてこれは
万遍
(
まんべん
)
なく済んだなと思うごとに、その結果、必ず不愉快なることを
数多
(
あまた
)
聞かねばならぬと思わぬことはない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
他目
(
はため
)
からは、どう
見
(
み
)
ても
医者
(
いしゃ
)
の
見舞
(
みまい
)
としか
想
(
おも
)
われなかった
駕籠
(
かご
)
の
周囲
(
まわり
)
は、いつの
間
(
ま
)
にやら五
人
(
にん
)
十
人
(
にん
)
の
男女
(
だんじょ
)
で、百
万遍
(
まんべん
)
のように
取囲
(
とりかこ
)
んで、
追
(
お
)
えば
追
(
お
)
う
程
(
ほど
)
、その
数
(
かず
)
は
増
(
ま
)
して
来
(
く
)
るばかりであった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そのうち穏かな心の
隅
(
すみ
)
が、いつか薄く
暈
(
ぼか
)
されて、そこを照らす意識の色が
微
(
かす
)
かになった。すると、ヴェイルに似た
靄
(
もや
)
が軽く全面に向って
万遍
(
まんべん
)
なく
展
(
の
)
びて来た。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この水流に架かる十筋の橋々を縫うように渡り検めて、私は流の上下の河岸を
万遍
(
まんべん
)
なく探してみた。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
各流能楽の
家元
(
いえもと
)
から、音楽ずきの物持ち長者、
骨董商
(
こっとうしょう
)
というような所を、根気よく
万遍
(
まんべん
)
なく
経
(
へ
)
めぐって「鼓をご紛失ではござらぬかな?」こういって尋ねたものである。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
けれども三四郎はうやうやしく二十三ページを開いて、
万遍
(
まんべん
)
なくページ全体を見回していた。三四郎は二十三ページの前で一応昨夜のおさらいをする気である。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし実際郡上平八は、あの晩以来思うところあって、あの時耳にした鼓の音を、是非もう一度聞きたいものと、全身の神経を
緊張
(
ひきし
)
めて、江戸市中を
万遍
(
まんべん
)
なく、歩き廻っているのであった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
匙の酢は鉢の蔬菜の上へ
万遍
(
まんべん
)
なく
撒
(
ま
)
き注がれた。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
刻々と
逼
(
せま
)
る暮色のなかに、嵐は
卍
(
まんじ
)
に吹きすさむ。
噴火孔
(
ふんかこう
)
から吹き出す
幾万斛
(
いくまんごく
)
の煙りは卍のなかに
万遍
(
まんべん
)
なく
捲
(
ま
)
き込まれて、嵐の世界を尽くして、どす黒く
漲
(
みなぎ
)
り渡る。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
所が前半には
其弊
(
そのへい
)
が
大分
(
だいぶん
)
少い。一種の空気がずつと貫いて陰鬱な色が
万遍
(
まんべん
)
なく
自然
(
じねん
)
に出てゐる。
此
(
この
)
意味に
於
(
おい
)
て著者が前篇
丈
(
だけ
)
を世に公けにするのは余の賛成する所である。
『煤煙』の序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は学友の誰彼に
万遍
(
まんべん
)
なく安井の動静を聞いて見た。しかし誰も知るものはなかった。ただ一人が、
昨夕
(
ゆうべ
)
四条の人込の中で、安井によく似た
浴衣
(
ゆかた
)
がけの男を見たと答えた事があった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
話が前後するようだが、旅順に来て十何年ぶりかに佐藤に逢って、例の頭を注意して見ると、不思議な事に、その頭には
万遍
(
まんべん
)
なく綿密に毛が生えていた。もっとも黒いのばかりではなかった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三四郎はベーコンの二十三
頁
(
ページ
)
を
開
(
ひら
)
いた。
他
(
ほか
)
の
本
(
ほん
)
でも読めさうにはない。ましてベーコン抔は無論読む気にならない。けれども三四郎は恭しく二十三
頁
(
ページ
)
を
開
(
ひら
)
いて、
万遍
(
まんべん
)
なく
頁
(
ページ
)
全体を見廻してゐた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
万
常用漢字
小2
部首:⼀
3画
遍
常用漢字
中学
部首:⾡
12画
“万”で始まる語句
万
万一
万歳
万事
万年青
万更
万斛
万々
万屋
万端