一尾いつぴき)” の例文
どぜう一尾いつぴき獲物えものい。いのを承知しやうちで、此処こゝむとふのは、けるとみづしづめたあみなかへ、なんともへない、うつくしいをんなうつる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此時このとき不意ふいに、波間なみまからをどつて、艇中ていちう飛込とびこんだ一尾いつぴき小魚こざかな日出雄少年ひでをせうねん小猫こねこごとひるがへして、つておさへた。『に、にがしては。』とわたくし周章あはてゝ、そのうへまろびかゝつた。
もなくまた一尾いつぴきげるとボズさん
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
けたところでがんしよ……ふな一尾いつぴきはいつた手応てごたへもねえで、みづはざんざと引覆ぶつけえるだもの。人間にんげん突入つゝぺえつたおもさはねえだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
坊主ばうずはなしたんです。……ぢや、老爺おぢいさん——老人らうじん貴下あなたなら、貴下あなた坊主ばうずはなされた、とふ、じやうぬまこひふなは、あみすくへばれうはあるが、びくれるとぐにえて、一尾いつぴきそこたまらぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)