“ひきだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
抽出32.0%
曳出27.8%
引出21.6%
抽斗10.3%
弾出2.1%
牽出2.1%
匹田1.0%
惹出1.0%
押斗1.0%
挽出1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そっと抽出ひきだしのすみっこの方に押しこめておくことが望ましいのであるが、正直なところそれも何か惜しいような気もするのである。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
学校へ行く時、母上が襟巻えりまきをなさいとて、箪笥たんす曳出ひきだしを引開けた。冷えた広い座敷の空気に、樟脳しょうのうにおいが身に浸渡るように匂った。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
それに、あゝ、なんとかの端本はほんか、と部屋頭へやがしらほんぞんじてりますから、なかうたこれから引出ひきだしましたのでは先刻せんこく承知しようちとやらでござりませう。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
母親は古い茶箪笥ちゃだんすから茶のはいったかん急須きゅうすとを取った。茶はもうになっていた。火鉢の抽斗ひきだしの紙袋には塩煎餅しおせんべいが二枚しか残っていなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ぐに弾出ひきだ三味線しやみせんからつゞいて太夫たいふが声をあはしてかたり出した。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しかも無限性を牽出ひきだすもの、こゝに吉祥天きちじょうてん伎芸天ぎげいてん弁財天べんざいてんなどゝいふ天女型の図像が仏菩薩ぼさつ像流行を奪つて製作され、中の幾つかゞ今日に残り、人間性の如何いか矛盾むじゅんであり
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
島木君は古典に親しむ者であつたから、わたくしがわざと匹田しつたと下町風の称呼で振仮名をしたのを、匹田ひきだと直したりなどした処もあつた。
本の装釘 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
犯行については詳細な調査が遂げられたけれど、犯人が自白をしないので、屡々しばしば自白から惹出ひきだされる決定的事実というものが欠けていました。
自責 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
可愛らしい鏡臺の押斗ひきだしから出した紅皿が二つと、これも可愛らしい紅筆が一本、平次の前にそつと押しやるのでした。
おもしろいことは、——停車場ていしやば肱下ひぢさがりに、ぐる/\と挽出ひきだすと、もなく、踏切ふみきりさうとして梶棒かぢぼうひかへて、目當めあて旅宿りよしゆくは、とくから、心積こゝろづもりの、明山閣めいざんかくふのだとこたへると、うかね、これ
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)