麻雀マージャン)” の例文
「そんな人聞きの悪い事を言っちゃいけない——昨夜ゆうべ遅くまで麻雀マージャンを付き合って、寝が不足のせいだろう、頭痛がしてかなわないんだ」
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
近来、日本のゲーム界に君臨くんりんしている麻雀マージャンにも、いろいろとインチキが可能ポッシブルである。日本麻雀聯盟でも、無論、インチキを排斥はいせきしている。
麻雀インチキ物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つとめ人らしい若いのが四人、麻雀マージャンをしている。ウイスキーソーダを飲みながら新聞を読んでいる中年の男が、二人。
秋風記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
麻雀マージャン聴牌てんぱいを当てるぐらいの事はお茶の子サイサイで、職業紹介欄の三行広告のインチキを閑暇ひまに明かして探り出す。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
麻雀マージャンで夜明しした後でつかれているから休ませてくれ、とノコノコ上りこんできたのだという、桂子の話も信じる。
野狐 (新字新仮名) / 田中英光(著)
私は絵を描く事以外の余興としてはスポーツに関する一切の事、酒と煙草たばこと、麻雀マージャンと将棋と、カルタと食物と、あらゆる事に心からの興味が持てない。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
私はその頃しきりに「麻雀マージャン摸牌モーパイするのと新聞を鳴らすのは君子のよくせざるところである。」など口癖くちぐせにしていたが、ひとえに私の負け惜しみに過ぎない。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)
甲板ゴルフ、麻雀マージャン、ブリッジ、碁、輪投げ、散歩、デッキにこしらえたプウルの水泳。夜は映画、音楽会。舞踏。
もうあはせに袷羽織と云ふ時候であつたが晴代の前では話せない事もあるらしく、その辺の若い人達の夜の遊び場になつてゐる麻雀マージャンか玉突きへでも行くものらしく
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
実は麻雀マージャンの手合わせがありましてね、池袋のある家に居続けなんです。僕も昨夜はそこで泊ったのですが、今日も仕事をすませて、これからそこへ行く所なんです。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
土曜日の夜などは、必ず、猿沢家を訪問して、麻雀マージャンの卓を囲むのが例になっていた程です。少額の金を賭けてやるのですが、蟹江は下手なので、いつも負けてしまう。
Sの背中 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「西洋でも独逸あたりは違いますが、英米崇拝ですから困ります。英米のやることなら何でも好いと思っているから始末に負えません。あなたは麻雀マージャンを御存知ですか?」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
娘光代の話では、国嶋氏夫婦は勝負事が好きで、しばしば徹夜で、花合せ、ブリッジ、麻雀マージャン等をすることがあり、そのお相手を仰せ付かるのが、御牧氏と光代なのだと云う。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
麻雀マージャンがはやれば麻雀、競馬がはやれば競馬、貧窮組が盛んな時は貧窮組に走り、公武合体という時節には公武合体へおべっか——貴様なんぞは、それで生きて行けばいいんだ
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
時には強烈な酒や煙草を飲みふけったり、或は活動写真に、或は麻雀マージャンに、或はクロス・ワード・パズルに乃至は又、センセーショナルな探偵小説に力を入れても見たが、いずれも長続きがしなかった。
死の接吻 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
忌々しいながら、僕は直ちにもとの「浅間信十郎」に還元して何ごとかと聞くと、「麻雀マージャンをやろうと仰有っています」と云った。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私は絵を描く事以外の余興としてはスポーツに関する一切の事、酒と煙草たばこと、麻雀マージャンと将棋と、カルタと食物と、あらゆる事に心からの興味が持てない。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
四世本因坊ほんいんぼうの名人道策どうさくが、日本の囲碁を黄金時代に導き、町方にももっぱら碁が行われた頃、ちょうど今日の麻雀マージャンなどのように一時は流行を極めた時分です。
駕籠かごを抜けたが麻雀マージャンお玉。警察さつのガチャガチャ置き土産。アラ行っちゃったア……っていうのはどうだい」
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
香港ホンコン——九竜クウロンに一泊。わんちゃいの支那魔窟。縁日。革命屍体の写真。水汲み行列。麻雀マージャン売り。砲台。島。
花や麻雀マージャンが道楽で、そうした遊びにかけてはすぐれた頭脳の持主であると同時に、やり口がいつも鮮やかすぎて、綺麗きれいな負け方ばかりしているのにも感心させられた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
自弁で読者奉仕をしたわけであるが、私としてはその月麻雀マージャンに夢中になっていて勧誘のしごとをおこたっていたので、店への申しわけと自分の気やすめのためにしたまでのことである。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)
東金君は社長令息のお取巻きになって、ゴルフや麻雀マージャンの勉強をした。附き合いが張るから丁度俸給ぐらい取寄せると言ってこぼしていた。お互は決して疎隔しない。知らないものからは親友に見える。
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
では麻雀マージャン競技会にいらっしゃるお客様は、八十名と考えましてお仕度をいたしましょう。会場は階下の大広間を当てることにいたしましょう。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから雑誌、食事、撞球やら、麻雀マージャンやら始まりました。撞球は学生時代から得意で、梅谷や金井と優劣なくやれますが、麻雀にはすっかり降参して了いました。
明日あしたね。妾が、この麻雀マージャンの籠を持って大阪へ行ったら、ここの警察へ思い切り馬鹿にした投書をするから、その投書を新聞に破抜ぱぬいてやったらいいじゃないの。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
近所の麻雀マージャンガールやゲーム取りにもちやほやされたが、うちの人達とも家族的にく晴代にお座敷をかけて遊んだ待合の女将おかみや、いつも花の宿になつてゐる芸者屋、そこへ集まる役者、小料理屋の且那
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どこから今時分でてきたのか知らないが、多分代々木あたりの友人の宅での徹夜麻雀マージャンの席から、例の病で真夜中の街へ滑りだしたものであろう。
ネオン横丁殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
両氏の場合は、本当に忙しかったのであろうが、自分の勝手な時に酒をのみ、麻雀マージャンで徹夜し、競馬に有頂天になる時間があって、なおかつ、人を追い返すというのは増上慢である。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
李発リーファ君というのは君かい。九大法文科の二年生……ウンウン。麻雀マージャンを密輸入して学資にしているんだってね。ウム。感心感心。当世の若い人間は、ソレ位の意気が無くちゃ駄目だよ。ウンウン。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その頃流行はやり出したばかりの麻雀マージャンを四人で打ったり、日曜日の午後などには三浦みうら三崎みさきの方面へドライヴしてはゴルフにきょうじたり、よその見る眼もむつまじい四人連れだった。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
詩は一番下手へたでしたが、その代り麻雀マージャン撞球たまつきは上手で、国府金弥氏の秘書として、少壮実業家としては非凡の才能を持っているばかりでなく、風采が立派で、人ずきがよくて、座談に長じて
ハラムは、そうした気持ちの妾を又も軽々と抱き上げて、ノッシノッシと歩きながら、へやの真中に在る紫檀したん麻雀マージャン台の前に来た。それはパイなんか一度も並べた事のない、妾達の食卓になっていた。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
帆村探偵は、ペーブメントの道を横に切れて、大きいビルディングとビルディングの間の狭い路を入ると、突当りに「麻雀マージャン」と書いた美しい電気看板のあがっている家のドアを押して入った。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
落ちついて考えると、これは私の独断であったので、かりに私に麻雀マージャンのパイや、競輪の入場券をくれる人があったとしても、私は、一顧もしないであろう。趣味は、ひとりひとりのものである。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
後生ごしょうだから今日だけ、お狃染甲斐なじみがいわたしを助けて頂戴。ね。妾、武雄たけおの温泉で長崎から宝石入りの麻雀マージャンを抱えて来た男の荷物を置き換えて来たんだから。その男が税関の役人に押えられる間際によ。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこは、学生の多い神田の、目貫めぬきの場所であって、書店や、ミルクホールや、喫茶店や、カフェや、麻雀マージャン倶楽部や、活動館や、雑貨店や、ダンスホールが、軒に軒を重ねあわせて並んでいた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)