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魚河岸
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うおがし
ふりがな文庫
“
魚河岸
(
うおがし
)” の例文
陸路を威勢よく走って運ばれたものであろうが、それにしても日本橋の
魚河岸
(
うおがし
)
に着く
時分
(
じぶん
)
は、もはや新鮮ではあり得なかったろう。
いなせな縞の初鰹
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
幸い丸の内まで逃げのびたS氏の話をきくと、荷物の車をひいて
魚河岸
(
うおがし
)
の三、四町の間を通るのに、一時間以上もかかったという。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
学生時代に日本橋に
魚河岸
(
うおがし
)
のあった頃、あの屋台店の鮨の
立食
(
たちぐ
)
いに始まって、東京中のうまい物を片っ端から荒し廻ったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
去年の春の
夜
(
よ
)
、——と云ってもまだ風の寒い、月の
冴
(
さ
)
えた
夜
(
よる
)
の九時ごろ、
保吉
(
やすきち
)
は三人の友だちと、
魚河岸
(
うおがし
)
の往来を歩いていた。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
誰か旧
魚河岸
(
うおがし
)
の方の側で手鏡を日光に
曝
(
さ
)
らしてそれで反射された光束を対岸のビルディングに向けて一人で嬉しがっているものと思われた。
異質触媒作用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
日本橋
魚河岸
(
うおがし
)
の若い衆たちは、旗本、
朝比奈甲斐守
(
あさひなかいのかみ
)
の屋敷に、その総代人をおくり、「魚河岸だけは、私どもが守ります、御免じ願います。」
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
あの
山家
(
やまが
)
育ちの小学生も生まれて初めて東京
魚河岸
(
うおがし
)
の鮮魚を味わい、これがオサシミだとお粂に言われた時は目を
円
(
まる
)
くして
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
魚河岸
(
うおがし
)
が
築地
(
つきじ
)
へうつってからは、いっそう名前もすたれて、げんざいは、たいていの東京名所絵葉書から取除かれている。
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
町の
旅籠
(
はたご
)
や料理屋へ
肴
(
さかな
)
を仕送っている
魚河岸
(
うおがし
)
の問屋の旦那が、仕切を取りに、東京からやって来て、二日も三日も、
新建
(
しんだち
)
の奥座敷に飲つづけていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
肴の荷を
曳
(
ひ
)
いて走る
魚河岸
(
うおがし
)
の若い者では、「霜しろく荷ひつれけり」はうつるまい。但一人でないから、幾分
賑
(
にぎやか
)
な様子はこの句からも窺うことが出来る。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
ちょうど、延宝年間に納めた
魚河岸
(
うおがし
)
の大提灯を斜めにして、以前の国芳が全体を現わしているところ。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
明治も改元して
左程
(
さほど
)
しばらく経たぬ頃、
魚河岸
(
うおがし
)
に白魚と
鮎
(
あゆ
)
を専門に商う小笹屋という店があった。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
せめて
御賓頭顱
(
おびんずる
)
でも
撫
(
な
)
でて行こうかと思ったが、どこにあるか忘れてしまったので、本堂へ
上
(
あが
)
って、
魚河岸
(
うおがし
)
の
大提灯
(
おおぢょうちん
)
と
頼政
(
よりまさ
)
の
鵺
(
ぬえ
)
を
退治
(
たいじ
)
ている額だけ見てすぐ
雷門
(
かみなりもん
)
を出た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
空になった酒樽のまわりには、
已
(
すで
)
に
寐
(
ね
)
入って了った者共が、
魚河岸
(
うおがし
)
の
鮪
(
まぐろ
)
の様に取残されていた。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ついそこの
魚河岸
(
うおがし
)
から、威勢のいいのが
鮪
(
まぐろ
)
や
桜鯛
(
さくらだい
)
をかついで、向う見ずに駈けだしてくるかと思うと、お
練
(
ね
)
りの槍が行く、お
駕
(
かご
)
が
従
(
つ
)
く——武士や町人、雑多な中に
鳥追
(
とりおい
)
の女太夫が
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その雛段にも連中は
並
(
なら
)
んだから、
魚河岸
(
うおがし
)
とか新場とか、
大根河岸
(
だいこんがし
)
とか、吉原や、各地の盛り場の連中見物、その他、
水魚連
(
すいぎょれん
)
とか、
六二連
(
ろくにれん
)
、
見連
(
けんれん
)
といった、
見巧者
(
みごうしゃ
)
、芝居ずきの集まった
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
魚河岸
(
うおがし
)
あたりの若い衆は五本も六本も団扇を
貰
(
もら
)
って行ったそうである。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「まるで、
魚河岸
(
うおがし
)
にまぐろが着いたようじゃないか」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
魚河岸
(
うおがし
)
へ
鮪
(
まぐろ
)
がついたように雑然ところがった石の上を、ひょいひょいとびとびに上るのである。どうかするとぐらぐらとゆれるやつがある。
槍が岳に登った記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
富士山の見える日本橋に「
魚河岸
(
うおがし
)
」があって、その南と北に「丸善」と「三越」が相対しているのはなんだかおもしろい事のように思われる。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
魚河岸
(
うおがし
)
から集金に来ている一人の親方は、そこの広間で毎日土地の
芸妓
(
げいしゃ
)
や
鼓笛
(
つづみふえ
)
の師匠などを集めて騒いでいた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
魚河岸
(
うおがし
)
における一日約一千尾の大まぐろは、大部分が焼き魚、煮魚として
夏場
(
なつば
)
のそうざいとなるのである。
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
朝になって見ると、広瀬さんは早く
魚河岸
(
うおがし
)
の方へ出掛けて行く。前の日に見えなかった料理方の人達も帰って来ていて、それぞれ一日の支度を始める。新七もじっとしていなかった。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それを見て、直ぐあとに
縋
(
つ
)
いて来ながら、葛岡は、手を一つわたくしの身体にかけても呉れない
佗
(
わび
)
しさ。わたくしたちは旧
魚河岸
(
うおがし
)
の通りに来ました。河岸の家並の間から見透かされる日本橋の橋欄。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
生魚はすぐ隣に
魚河岸
(
うおがし
)
があるからいいが、しかし三越でも
猫
(
ねこ
)
や小猿やカナリヤを販売したらおもしろいかもしれない。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
夏場、東京
魚河岸
(
うおがし
)
で扱うまぐろは一日約一千尾という。秋よりこれからの冬に約三百尾を売りさばくというのであるから、東京のまぐろ好きが想像されようというもの。
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
人々の間では、「どこそこのうなぎがよい」というようなお国びいきもあるし、土地土地の自慢話も聞かされるが、東京の
魚河岸
(
うおがし
)
、
京阪
(
けいはん
)
の魚市場に代表的なものがある。
鰻の話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
戦後のこと、
魚河岸
(
うおがし
)
にまぐろが二本か三本しか来なかったといって、普通の店舗に入らなかった場合にも、この店には堂々たるまぐろが備えてあった。他の
寿司屋
(
すしや
)
ではそうはいかない。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
しかし、本店のおやじがジャズ調であるのに反し、支店は
地唄
(
じうた
)
調というところで、いとも静かな一見養子風の歯がゆいまでにおとなしい男。毎朝
魚河岸
(
うおがし
)
に出かけ、帰るやただちに仕込みにかかる。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
魚
常用漢字
小2
部首:⿂
11画
河
常用漢字
小5
部首:⽔
8画
岸
常用漢字
小3
部首:⼭
8画
“魚河岸”で始まる語句
魚河岸問屋