風雲ふううん)” の例文
神官しんかん祭壇さいだんにこう祈祷きとうしたが、あのハズミで飛んだ一ぺん木太刀きだちが、まッたく予想よそうもせぬ風雲ふううんを地上からむかえにいったものになろうとは、おそらく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はしものもつ(八)あみく、およものもつ(九)いとく、ものもつ(一〇)いぐるみし。りよういたつては、われ風雲ふううんじようじててんのぼるをることあたはず。
かくごと風雲ふううんは、加能丸かのうまる既往きわう航海史上かうかいしじやうめづらしからぬ現象げんしやうなれども、(一人坊主ひとりばうず)の前兆ぜんてうりて臆測おくそくせる乘客じやうかくは、かゝ現象げんしやうもつすゐすべき、風雨ふうう程度ていどよりも、むし幾十倍いくじふばいおそれいだきて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
端粛とは人間の活力の動かんとして、未だ動かざる姿と思う。動けばどう変化するか、風雲ふううん雷霆らいていか、見わけのつかぬところに余韻よいん縹緲ひょうびょうと存するから含蓄がんちくおもむき百世ひゃくせいのちに伝うるのであろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おまけに左膳があごを預けている本所の旗本鈴川源十郎があんまり頼みにならないために諸事意のごとく運ばず、乾雲は依然として左膳の手にあるものの、いまだに二剣ところを別して風雲ふううんきゅうを告げ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
天に不思議の風雲ふううん有り人に不時のわざはひありとはむべなるかなこゝに杉戸屋富右衞門は去六月廿六日ひる立にして商用の爲め栃木とちぎ町より藤田古河邊こがへんへ到り暫く逗留とうりうなし七月四日晝前に我が家へ歸りければ女房おみねは出迎ひ先御無事にと打喜うちよろこして又旦那には村中の大變を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
嵯峨さが仁和寺にんなじに、麿まろ親身しんみ阿闍梨あじゃりがわたらせられるほどに、ひとまずそれへおされて、しばらくは天下の風雲ふううんをよそに、世のなりゆきを見ておわせ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)