雪舟せっしゅう)” の例文
真実ほんとうの事で。……これは決して皮肉でも何でもありません。成程ここへ雪が降れば、雪舟せっしゅう炭団たどんを描いたようになりましょう。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
非常に美しいくせに、非常にダイナミックで、ちょうど雪舟せっしゅうが老境に入って書いた画が、驚くほど気魄に漲っていたのと、全く同一である。
今夜正十二時、きみはきみの家宝、雪舟せっしゅうの山水図の掛け軸を持って元駒沢練兵場こまざわれんぺいじょう東がわの林の中へ来るのだ。そこに一台の小型自動車が待っている。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あるいは日本絵の下絵や鳥羽僧正とばそうじょうの鳥獣戯画やその他雪舟せっしゅう破墨はぼく山水にいたるまでも素描といえばいえるものである。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
惜しい事に雪舟せっしゅう、蕪村らのつとめて描出びょうしゅつした一種の気韻は、あまりに単純でかつあまりに変化に乏しい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかるにまた大多数の人〻はそれでは律義りちぎ過ぎて面白くないから、コケが東西南北の水転みずてんにあたるように、雪舟せっしゅうくさいものにも眼をれば応挙おうきょくさいものにも手を出す
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
石見いわみ益田ますだには二つ心を引かれるものがある。一つは最も有名な雪舟せっしゅうの庭、一つは名もない粗陶器。誰も後者について語ったものはなかろう、ここで味方になって弁護しよう。
雲石紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
どうもだいぶ気が軽くなり行儀がくずれてはれた足を縁へ投げ出したり物ごとにだだくさになったり隣家とけんかをしたり雪舟せっしゅうの自慢をしたりあばたの小僧をいやがらせたり
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
巨勢こせ金岡かなおかもあります、光長も、信実のぶざねもあります、土佐もあります、雪舟せっしゅう、周文、三阿弥あみ、それから狩野家にも古法眼こほうげんがあります、その後に於ても探幽があり、応挙があり……
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
雪舟せっしゅうとか光琳こうりんとか文晁ぶんちょうとか容斎ようさいとかいう昔しの巨匠の作になずんだ眼で杓子定規に鑑賞するから、偶々たまたま芸術上のハイブリッドを発見しても容易に芸術的価値を与えようとしない。
しからば大雅たいがか、蕪村ぶそんか、玉堂ぎょくどうか、まだまだ。では光琳か、宗達か。なかなか。では、元信もとのぶではどうだ、又兵衛またべえではどうだ、まだだ。光悦こうえつか、三阿弥あみか、雪舟せっしゅうか、もっともっと。
河豚のこと (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
あの色紙は、茶屋の枕屏風まくらびょうぶに張ってあったものですが、私はもてない腹いせに、ひっぱがして家へ持って帰ったのです。雪舟せっしゅうではないかと思っているのですが、あるいは贋物にせものかも知れません。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
その時参考品御物ぎょぶつの部に雪舟せっしゅう屏風びょうぶ一双いっそう琴棋きんき書画をえがきたりと覚ゆ)あり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
いや、あたっていないこともない。芸術の領野りょうやには、国境はなく、よいところは、たれのよさを取ってもよいのじゃ。……もしそれが悪ければ、如雪じょせつ周文しゅうぶん雪舟せっしゅうも、みな剽窃漢ひょうせつかんということになる
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
でもこんなのらくらの遊び人の絵をともかくも一文や二文で買ってくれ手があるから不思議なもんさな! どうで雪舟せっしゅうも元信も拝むことのできぬ肴屋さかなや八百屋やおや熊公くまこう八公がわたしのご上客だ。殿様だ。
○赤石君雪舟せっしゅう双幅そうふくの事。(奇襲。呵々かか又呵々)
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
美術といってもおもに古代の名画で、雪舟せっしゅうとか探幽たんゆうとか、小学校の本にさえ名の出ている、古来の大名人の作は、ほとんどもれなく集まっているといってもいいほどでした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
石見の古い町といえば津和野つわのに誰も指を屈するでしょう。亀井藩で今も昔の屋敷が見られます。近くの益田ますだ雪舟せっしゅうの庭を以て名があります。しかしそれらのことはさておくとしましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
しからば大雅たいが蕪村ぶそん玉堂ぎょくどうか。まだまだ。では光琳こうりん宗達そうたつか。なかなか。では元信もとのぶではどうだ、又兵衛またべえではどうだ。まだまだ。光悦こうえつ三阿弥さんあみか、それとも雪舟せっしゅうか。もっともっと。因陀羅いんだら梁楷りょうかいか。
河豚は毒魚か (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
そうやって下を見て帽子のひさしで日をけるようにして来たのが、真直まっすぐに前へ出たのと、顔を見合わせて、両方へける時、濃い睫毛まつげからひとみを涼しくみひらいたのが、雪舟せっしゅうの筆を、紫式部むらさきしきぶすずりに染めて
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪舟せっしゅうの絵です。国宝ですよ。」
電人M (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)