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離家
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はなれ
ふりがな文庫
“
離家
(
はなれ
)” の例文
ことに浪子のために八畳一間六畳二間四畳一間の
離家
(
はなれ
)
を建て、逗子より
姥
(
うば
)
のいくを呼び寄せて、浪子とともにここに
棲
(
す
)
ましつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
彼女も
主家
(
おもや
)
と
離家
(
はなれ
)
との往復のほかには、家事向きの用事らしい用事もなく、いつも二人はいつしよに
居
(
を
)
られた。私は退屈の時には本を讀んだ。
雪をんな
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
相原
(
あいばら
)
新吉夫婦が
玉窓寺
(
ぎょくそうじ
)
の
離家
(
はなれ
)
を借りて入ったのは九月の末だった。残暑の
酷
(
きび
)
しい年で、寺の境内は汗をかいたように、昼日中、いまだに
油蝉
(
あぶらぜみ
)
の声を聞いた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「馬込のこうこういう百姓家の
離家
(
はなれ
)
に、あやめという女と住んで居るよ」と、そう与四郎は教えてくれた。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
暴風雨
(
あらし
)
に追われて、おひさの
離家
(
はなれ
)
に帰ったお久美は、いそいで、江戸へかえる旅仕度をはじめていた。
あの顔
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
……それにお支度が又金に
飽
(
あ
)
かしたもので、若旦那の方から婿入りの形にするために、
地境
(
じざかい
)
の畠を潰しまして、見事な
離家
(
はなれ
)
が一軒建ちました位で、そのほか着物は
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
旅の事ゆゑ、なほさら寒さも
染
(
し
)
みるであろ。さうはいふものの、たとへ
二十日
(
はつか
)
でも住み馴れて見ると、この
離家
(
はなれ
)
が何とはなしに古びて来て、矢つ張り
二人
(
ふたり
)
の
住居
(
すまゐ
)
らしい。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
暁闇
(
ぎょうあん
)
が
萩
(
はぎ
)
のしずれに漂っていた。小蝶が
幾羽
(
いくつ
)
もつばさを畳んで眠っていた。
離家
(
はなれ
)
の明けてある戸をはいってゆくと、薄暗い
青蚊帳
(
あおがや
)
の中に、大きな顔がすっかりゆるんでいた。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
欣之介のゐる
離家
(
はなれ
)
の横手にある
灰汁柴
(
あくしば
)
の枝々の
先端
(
さき
)
へ小さな粒々の白い花が咲き出した頃の或る日暮方、
革紐
(
かはひも
)
で堅く
結
(
ゆは
)
へた白いズックの
鞄
(
かばん
)
が一つ、その灰汁柴の
藪蔭
(
やぶかげ
)
に置いてあつた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
お小夜の寝ている
離家
(
はなれ
)
へ入って行くと、欄間の上に、胴まわり一尺ばかりの金色の
鱗
(
うろこ
)
をつけた、見るもすさまじい大蛇が長々と這って、火のような眼ざしでじっとお小夜のほうを見おろしている。
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私
(
わし
)
が
此家
(
こっち
)
へ奉公に来た
翌年
(
あくるとし
)
の
事
(
こん
)
だから、私がハア三十一の時だ、左様すると……二十七八年
前
(
めえ
)
のこんだ、何でも二月の
初
(
はじめ
)
だった、孩児を連れた夫婦の客人が来て、
離家
(
はなれ
)
に泊って、三日ばかりいたのサ
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
増田屋金兵衞は、
離家
(
はなれ
)
と
母家
(
おもや
)
を繋ぐ、廊下の端で刺されました。
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ふと途すがら 昔の家の
離家
(
はなれ
)
にゐた
獨身
(
ひとりみ
)
のかの老女を憶ふ
山果集
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
今皮下注射を終えたるあとをしばし静かにすとて、廊下伝いに
離家
(
はなれ
)
より
出
(
い
)
で来し二人の婦人は、小座敷の
椅子
(
いす
)
に
倚
(
よ
)
りつ。一人は加藤子爵夫人なり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
花嫁御のオモヨさんと、母親のお八代さんとは
母屋
(
おもや
)
の奥座敷に……それから花婿どんの若旦那と、親代りの附添役になりました私は、
離家
(
はなれ
)
に床を取って
寝
(
やす
)
みました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
離家
(
はなれ
)
の垣根の隅でポッチリずつの硫黄を製煉し、研究している姿が
蟇
(
ひきがえる
)
のように悲しかった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さほど見ぐるしくない
離家
(
はなれ
)
が、お久美の居室ときめられて、あらゆる歓待が用意された。漁期でないので、家にも、村にも、浜にも、微風と日光と静寂のほかは、何もなかった。
あの顔
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
荏原郡
(
えばらごおり
)
馬込の里の、農家の
離家
(
はなれ
)
に
主税
(
ちから
)
とあやめとが、夫婦のようにして暮らしていた。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
田のそなた堀に柳のしだれたる
離家
(
はなれ
)
の窻に老いていましき
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
朝
(
あした
)
に
夕
(
ゆうべ
)
に
彼女
(
かれ
)
が病床を
省
(
せい
)
し、自ら
薬餌
(
やくじ
)
を与え、さらに自ら指揮して
彼女
(
かれ
)
がために心静かに病を養うべき
離家
(
はなれ
)
を建て、いかにもして
彼女
(
かれ
)
を生かさずばやまざらんとす。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
何か
欺
(
だま
)
し
賺
(
すか
)
すような
風付
(
ふうつ
)
きで、耳に口を当てて二言三言云いながら、サッサと若旦那の手を引いて、
離家
(
はなれ
)
に連れ込んで寝かして御座るのが、私の処からよく見えました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ここの農家の
離家
(
はなれ
)
を借りて、夫婦のように
住居
(
すまい
)
して来たのであった。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その一段上の雑木の中に在るタッタ三
室
(
ま
)
しかない現在の
離家
(
はなれ
)
に移り住むようになった。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
離
常用漢字
中学
部首:⾫
19画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“離”で始まる語句
離
離屋
離室
離座敷
離縁
離亭
離々
離別
離房
離反